投資信託などで組み入れ銘柄の選択をしていく際のアプローチの仕方のひとつで、個別企業の財務状況など、1社ずつ細かく分析しながら投資対象をピックアップして、ポートフォリオを構築していくものです。選び方としては、企業の実力に比べて株価が割安な銘柄をピックアップしていくバリュー型や、成長率の高い企業をピックアップしていくグロース型など、一定の基準に基づいて個別企業を1社ずつ選んでいくのが一般的です。マクロ的な分析からポートフォリオを構築するトップダウン・アプローチとは対極にあるものといえます。ボトムアッ...
ボラティリティー(Volatility)とは、一般的に価格変動の度合いを示す言葉で、「ボラティリティーが大きい」という場合は、その商品の価格変動が大きいことを意味し、「ボラティリティーが小さい」という場合は、その商品の価格変動が小さいことを意味します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティーを標準偏差で数値化し、それをその商品のリスクの度合いとして捉えるのが一般的です。そのため、ボラティリティーが大きい商品はリスクが高く、ボラティリティーが小さい商品はリスクが低いと判断されるのが一般...
ポイント投資とは、カード会社や通信会社、航空会社などのポイントやマイルを利用した少額投資を指します。たとえば、NTTドコモは2018年からdポイントで投信を購入できるようにしたほか、ANAなども次々参入しています。その背景には2兆円近い規模ともいわれるポイント市場の急拡大があります。これまで顧客の囲い込みのために機能していたポイントも、最近では利用データを活用し、新規事業や顧客開拓につなげる動きが活発化しています。ポイント利用を資産運用まで広げることにより、サービス向上や自社ポイントのさらなる利...
貿易収支とは、財貨(物)の輸出入の収支のことをいいます。輸出額が輸入額を上回る状況を貿易黒字、輸入額が輸出額を上回れば貿易赤字といいます。 一般的には、貿易黒字が増えると、その分相手の国から受け取る外貨が増え、それを日本円に交換するために外貨を売って円を買うことになるので、円高圧力が高まります。一方、貿易黒字が増えるとGDPが押し上げられ、貿易赤字が増えると逆に押し下げられます。貿易収支は毎月、財務省が「貿易統計」で発表しています。貿易収支は速報性が高く、実態を反映しやすいので、GDP速報値など...
中央銀行が対価を取らずに大量のマネーを市中に供給する景気対策のこと。ヘリコプターからマネーをばらまくような政策という意味で「ヘリコプターマネー」といわれています。ヘリコプターマネーはミルトン・フリードマンが最初に使い、米国のバーナンキ元FRB議長も提唱しました。「禁断の政策」ともいわれるように「ヘリコプターマネー」には、副作用も存在します。財政出動の資金確保や政府が目指す「デフレ脱却」のきっかけになる一方で、大きなインフレを招いたり、貨幣の信認低下につながる可能性が指摘されています。
ヘルスケアとは、健康の維持や増進のための行為や健康管理のことです。昨今では医師に頼らず自分で治療を行うセルフメディケーション(自己治療)が同様の意味で使われていることもあります。これは、製薬業界などでドリンク剤や市販薬など、医師に頼らず自身で健康を管理する商品をヘルスケアと呼んでいることからきているようです。2017年から新たにスタートしたセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は、定期的に健康診断などを受けて健康を管理している人が、一部の市販薬を購入した際に受けられる所得控除の特例です。...
ベンチャーキャピタル(Venture Capital、VC)とは、未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資して株式を取得し、将来的にその企業が株式を公開(上場)した際に株式を売却し、大きな値上がり益の獲得を目指す投資会社や投資ファンドのことを指します。一般的なベンチャーキャピタルは、企業への出資と同時に経営コンサルティングを行い、その企業価値の向上を図ります。ベンチャーキャピタルは、未上場の段階で株式を取得し、上場時に売却することで大きな値上がり益を期待できますが、投資先企業の中には上場を果たす...
変動金利とは、預金や債券等について、一定期間ごとに諸条件に応じて変動する金利のことをいいます。一方で、満期・償還まで一定のものを固定金利といいます。変動金利型10年満期の個人向け国債は、実勢金利の動きに応じて半年毎に金利が変動しますが、最低利率0.05%(年率)が保証されています。
ベーシックインカム(Basic Income) とは、年齢、性別、所得水準などに関係なく、すべての国民や市民に一律の金額を恒久的に支給する基本生活保障制度のことです。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた景気の悪化や失業率の上昇をきっかけに、ベーシックインカムに関する議論が世界的に活発化しました。ベーシックインカムには、貧困対策や社会保障制度の簡素化を通じた行政コストの削減などのメリットが考えられる一方で、財源確保などの問題点も指摘されています。なお、2021年10月には、米国のシカゴ市議会がベー...
米国にある12の地区の連邦準備銀行が、それぞれ管轄する地区の経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」を指します。表紙の色がベージュ色であることから、こう呼ばれています。全米の経済情勢についての総合判断の他、消費支出、製造、金融サービス、不動産、雇用などの各項目の状況について説明されています。年8回開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)の2週間前の水曜日に発表され、金融政策を変更するかどうかの判断材料に用いられます。12の地区連銀とは、アトランタ、ボストン、シカゴ、ミネアポリス、ニューヨーク、フィ...
ブレグジットはイギリスがEU(欧州連合)を離脱することを指す造語で、「Britain(イギリス)」と「Exit(離脱)」を組み合わせたものです。2016年6月23日に行われたイギリスのEU離脱を問う国民投票で離脱派が勝利し、3度の延期を経て、2020年1月31日に正式に離脱しました。
ブロックチェーンとはコンピューターネットワーク上のデータを管理する技術のひとつで、日本語では「分散型台帳」といわれます。次々と形成される取引の履歴(ブロック)が鎖(チェーン)のように連なって行くことから「ブロックチェーン」と呼ばれています。ブロックチェーンは1つの会社や組織内で管理される「プライベート型」と、管理者がおらず、誰でも参加が可能な「パブリック型」に分かれます。パブリック型では、取引データがネットワーク上に公開されていて、ユーザー同士が分散して取引履歴の管理・監視を行っています。そのた...
米国の雇用情勢を示す統計で、景気状況を探るうえで最も重要な経済指標のひとつです。原則、毎月第1金曜日に米国労働省から発表されます。政府から最初に発表される前月の指標で、米国の景気の実体を表す最新の数値として、外国為替、株式、金利などのマーケットにも影響を与えるため、市場関係者が注視しています。中でも最も注目される数字は、非農業部門雇用者数、失業率、時間当たり賃金などです。FRB(米連邦準備制度理事会)は金融政策の決定に際し、雇用の最大化と物価の安定を目標としています。そのため、米国雇用統計は米国...
ブラック・マンデー(Black Monday)とは、1987年10月19日、ニューヨーク株式市場に起こった過去最大規模の暴落を指します。508ドル、22.6%という下げ幅は世界恐慌の引き金となった日(ブラック・サーズデー)の下落率12.8%を上回るもので、直後からアジア、ヨーロッパにも広がり、世界同時株安となりました。この日が月曜だったことから、ブラック・サーズデーにならってこう名付けられ、「暗黒の月曜日」とも呼ばれます。
ブラックスワン(Black Swan)とは、マーケットにおいて事前にほとんど予想できず、起こったときの衝撃が大きい事象のことです。元ヘッジファンド運用者でもある研究者、ナシーム・ニコラス・タレブが2006年に刊行した著書『ブラックスワン(The Black Swan)』で言及したのがきっかけで、使われるようになりました。従来、すべてのスワン(白鳥)は白色と信じられていましたが、オーストラリアで黒いスワンが発見されたことにより、鳥類学者の常識が大きく覆されました。これにちなんで、確率論や従来の知識...
ブラックフライデー(Black Friday)とは、米国の感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日の金曜日を指し、この日に大規模なセール(安売り)が行われることをいいます。米国の小売業界では1年で最も売り上げが見込まれる日とされており、年末商戦の幕開けに当たる一大プロモーションイベントとして注目されています。もともとはセールに集まる人が店の外にあふれて自分の仕事が増えることから、警察官が「ブラックマンデー」になぞらえて、「真っ暗な金曜日」と呼んだことが始まりとされています。その後、「小売業者が儲かって...
プライベートバンク(Private Bank)とは、経営に無限責任を負うプライベートバンカー(Private Banker)が経営する銀行を指します。スイス発祥の銀行の一形態で、顧客対象は主に世界中の王族や貴族を含む富裕層、主要業務は資産保全、資産運用です。万一の場合は無限責任のパートナーが個人資産を含めて責任を負う形態で、情報秘匿性、信頼度が高いといわれます。銀行によって基準が異なりますが、対象は富裕層が中心で、米ドルで100万ドル、日本円で1億円以上の金融資産(不動産を除く)がひとつの目安と...
プライマリーバランス(Primary Balance)とは、国や地方自治体などの基礎的な財政収支のことをいいます。一般会計において、歳入総額から国債等の発行(借金)による収入を差し引いた金額と、歳出総額から国債費等を差し引いた金額のバランスを見たものです。プライマリーバランスがプラスということは、国債の発行に頼らずにその年の国民の税負担などで国民生活に必要な支出がまかなえている状態を意味します。逆に、プライマリーバランスがマイナスということは、国債等を発行しないと支出をまかなえないことを意味しま...
フィデューシャリー・デューティーとは、信認を受けた者が履行すべき義務のこと。日本語では受託者責任と訳されます。これは顧客本位の業務運営を指し、金融機関は資産を預けている顧客に対し、利益を最大限にすることを目標に利益に反する行為を行なってはならないとするものです。フィデューシャリー・デューティーという言葉は、2014年に金融庁が「平成26事務年度金融モニタリング基本方針」の中で初めて扱ったことで話題となりました。なお、金融庁では、国民の安定的な資産形成の実現に向け、2017年3月30日に「顧客本位...
フィンテック(Fintech)とは、Finance(金融)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、IT(情報技術)を駆使して金融サービスを生み出したり、見直したりする動きを指します。2010年代以降、インターネット関連技術の進歩によって、従来の大手金融機関が独占していた業務を個人や新興金融業者が担えるようになり、金融と技術を融合した新しいビジネスやサービスが次々登場したことから、注目されるキーワードとなりました。サービスの領域は家計簿、会計ソフト、決済、貸付、資産運用など幅広く、たと...