デュレーション(Duration)には2つの意味があります。1つは、債券投資における元本の平均回収期間を示すものです(単位は「年」)。将来受け取ることのできる利息や償還金(キャッシュフロー)の現在価値の合計を計算し、それぞれのキャッシュフローを受け取るまでの期間に、キャッシュフローの現在価値合計に占める割合を掛けて合計し、計算します。一般的に、クーポンが同じであれば、残存期間の長い債券ほどデュレーションは長くなります。同じ残存期間であれば、クーポンが低い債券ほどデュレーションが長くなります。もう...
投資法人(J-REITを含む)が発行する債券であり、株式会社における社債に相当するものです。投資法人債はJ-REITの資金調達手段の一つです。J-REITは、投資法人債の発行により調達した資金を、一般的に不動産などの取得、保有不動産に関する敷金・保証金の返還や修繕費用のほか、借入金の返済、投資法人債の償還等に使用します。J-REITが発行する投資法人債の利払いの主な原資は、一般的にJ-REITの保有する不動産からの賃料収入です。
通常よりも利率を抑える代わりに、額面金額より低い価格で発行される債券を指します。新発債を購入して償還日まで保有した場合、額面価格と発行価格の差額が償還差益となります。なお、利払いがないものはゼロクーポン債(割引債)と呼ばれます。
デフォルトとは、債務不履行のことで、債券の利払いや償還が約束通りに行われないことは、デフォルトの一例です。デフォルトには、利払いの停止、額面金額の払い戻しの停止、額面金額の一部のみ払い戻しなど、いくつかのケースがあります。デフォルトの可能性は、「格付」がひとつの判断材料になります。
デュアルは二重、カレンシーは通貨を意味し、日本語では二重通貨建債券と呼ばれます。利払いと償還が異なる通貨となる債券のうち、払い込みと利払いが同じ通貨で、償還通貨が異なるタイプの債券を指します。日本で個人向けに販売されているものは、払い込みと利払いが円建てで、償還が外貨建てのものが主流です。原則として、円建てで支払われる部分は為替変動の影響を受けませんが、外貨建てで支払われる部分についてはその影響を受け、当初より円高が進めば為替差損が発生することがあります。ただし、判定日における為替水準があらかじ...
債券が満期前に償還することで、期限前償還や繰上償還ともいいます。早期償還の条項が付いた債券を早期償還条項付き債券といいます。早期償還条項には、発行体の任意によって全部または一部が償還されるものと、あらかじめ条件を定めその条件を満たした場合に償還されるものがあります。通常、満期前に償還すると、本来満期までの間に受け取れるはずだった利息は受け取れなくなります。あらかじめ早期償還の判定時期や条件をきちんとチェックしておきましょう。関連用語:Make Whole(メークホール)条項
TLACとは、「Total Loss-Absorbing Capacity」の略で、総損失吸収力を意味します。世界の巨大銀行(G-SIBs,Global Systemically Important Banks)が経営難に陥って破綻すると金融市場への影響が大きいため、そのような際に公的資金を使って救済しなくても済むように、日米欧などの金融当局などからなる金融安定理事会(FSB)により、TLAC規制が制定されました。TLAC規制においては、G-SIBsは破綻時に納税者負担を伴わずに秩序だった処理を...
政府保証債とは、政府関係機関や特殊法人等が発行する債券のうち、政府が元金および利息の支払いを保証している債券のことです。発行者が元利金の支払いを行うことができない場合(債務不履行)でも、政府がかわって元利金の支払いを行うことが保証されています。なお、株式会社でも特別な法律に基づいて設立された会社には、政府保証債の発行が認められている場合があります。
割引形式で発行される債券のことで、利息(クーポン)の支払いがないため、ゼロクーポン債といいます。割引債とも呼ばれます。主に米国またはユーロ市場の海外市場で発行されます。利息が付かない代わりに、額面金額を下回る金額で発行され、償還日には額面金額が払い戻されるため、その差額が利息に相当します。ゼロクーポンは、利息が付かないから損だと誤解される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ゼロクーポン債は、額面金額に対して割引した金額で購入できるため、償還差益が期待できる債券です。
新型劣後債(バーゼルⅢ適格Tier2証券)は、国際的な銀行自己資本比率規制(バーゼルⅢ)においてTier2資本として計上することがきる劣後債です。劣後特約に加え、実質破綻時債務免除特約が付されている債券です。劣後特約により一定の劣後事由(※1)が発生した場合、その元利金の支払いは劣後債以外の上位債券より後順位に置かれます。さらに、実質破綻と認定された場合には、損失の吸収(元本の削減または普通株転換)が発生するリスクがあります。(※1)劣後事由の例:破産手続きの開始、会社更生手続きの開始、民事再生...
新発債とは、新規に発行される債券のことです。発行される時期や金額などは、新聞や公告などで発表され、一定の募集期間内に証券会社などで購入できます。新発債に対して、既に発行されている債券は既発債と呼ばれます。
短期金利と長期金利の差が大きくなることをいいます。イールドカーブは、一般的に右肩上がりになっています。この傾斜角度が急になった場合は、短期金利と長期金利の金利差が大きくなったことを意味し、スティープ化するといいます。対義語はフラット化、フラットニングです。一般的に、将来の金利に先高感がある場合には、イールドカーブはスティープ化します。
利付債の元本部分とクーポン(利息)部分が分離され、それぞれの部分がゼロクーポンの割引債として販売される債券を指します。日本語では元本利子分離債と呼ばれます。利付債は通常、元本部分とクーポン部分で構成されますが、元本部分をこの利付債の償還日を満期とする割引債、各クーポン部分をその支払期日が満期の割引債として販売するものです。ストリップス債は、“STRIPS = Separate Trading of Registered Interest and Principal of Securities”の...
償還差益とは、債券の買付価格より、償還金額の方が高かった場合の差額収益を指します。額面当たりの単価が100円の債券を、100円未満の単価で買付したのちに額面100円で償還した場合などに、償還差益が発生します。反対に、債券の買付価格より、償還金額の方が低かった場合の損失を償還差損といいます。債券を単価100円超で購入し、そのまま償還を迎えると差損が発生する場合もあるので注意が必要です。
住民参加型市場公募地方債とは、地方公共団体が主に地域住民を対象に発行する債券のことで、ミニ公募地方債とも呼ばれます。「地方公共団体も自らの責任において市場で資金を調達すべき」との考え方から、その一手法として2002年より発行されるようになりました。利率は国債などの利率に上乗せ金利を加算して設定され、また、イベント招待券や施設利用券などの特典が付くケースもあります。
債券は、満期日に債券の保有者に額面金額が払い戻されます。この満期日のことを償還日、払い戻すことを償還といいます。償還日に一括で償還する(満期一括償還)ものが多いですが、償還日前に償還する(途中償還)ものもあります。途中償還には、全額または一部が繰り上げて償還される早期償還(期限前償還、繰上償還)や、一定の期日ごとに分割して償還される分割償還などがあります。償還日に払い戻された金額と、購入したときの金額との差額が、利益(償還差益)または損失(償還差損)になります。
社債間限定同順位特約とは、発行体が同じ複数の無担保社債の間でそれぞれに不利が生じないように付ける特約のことです。たとえば、最初に無担保の社債を発行した後に、同じ発行体から有担保の社債が発行されてしまうと、最初の無担保社債の債権者は、有担保の債権者よりも請求権で劣ってしまうことになります。そのようなことが起こらないように、後に有担保債券を発行する場合には、同等の担保をこれまでの無担保債券にも設定することを定めたものです。