WACCとは「Weighted Average Cost of Capital」の略で、加重平均資本コストと和訳され、企業の資本コストの代表的な計算方法のひとつです。企業の資本コストは、借り入れによって調達した資本(他人資本)と株式の発行によって調達した資本(自己資本)に大別することができますが、WACCはそれぞれの資本コストを調達額で加重平均して算出します。資本コストとは、企業が資本を調達・維持するために必要なコストのことを指すのが通常です。発行した株式に対して支払う配当金や、発行した債券、借...
劣後とは「後回し」を意味し、劣後ローンとは元利金返済の優先順位が一般債権より低い無担保の貸出債権を指します。劣後特約付きローン、ハイブリッドローンとも呼ばれ、借り手が経営破綻した際には、すべての債権者への弁済を終えてもまだ残額がある場合に返済が行われます。貸し手にとっては貸し倒れリスクが大きい半面、金利が高いというメリットがあります。事実上、破綻時に返済が不要なので株主資本と似た性格があり、金融機関は会計処理上、劣後ローンによる調達額を自己資本に一部組み入れることが認められています。日本では19...
連結決算とは、親会社だけでなく、国内・海外子会社および関連会社を含めたグループ全体の決算方法のことです。連結決算では、企業グループ全体の貸借対照表や損益計算書を連結財務諸表として公開しています。1978年3月期決算会社からその作成が義務付けられましたが、日本での実情は、単独決算を重視し、連結決算の情報開示はほとんど行われていませんでした。しかし、連結決算は投資銘柄を選択するための重要な投資情報となるため、2000年3月期から証券取引法(現在の金融商品取引法)のディスクロージャー制度を大幅に見直し...
ロボアドバイザー(Robo Advisor)とは、インターネット上で資産運用を提案してくれる、AI(人工知能)を利用したウェブ上の金融サービスです。フィンテックの活用例として欧米で話題となり、2015年頃から日本にも上陸し、銀行や証券会社などで提供されています。年金運用やラップ口座などで蓄積した技術やノウハウをもとにシステム化したもので、あらかじめ簡単なアンケートに答えて運用ニーズを伝えておくと、それに沿ってポートフォリオの組み合わせを提案してくれます。
レアアース(Rare earth elements)は希土類とも呼ばれ、レアメタル(Rare Metal)の一種で、スカンジウム、イットリウムなど15元素の総称です。希少価値が高く、混合酸化物から分離するのが難しいという特徴があります。スマートフォン、パソコン、省エネ家電、ハイブリッド車や電気自動車などの製造に欠かせない材料となっています。レアアースは世界の産出量の9割以上を中国が占めるともいわれ、日本でも大部分を中国からの輸入に頼っていました。しかし、2010年、日中関係が緊迫した際、中国が供...
レイオフ(一時解雇)とは、業績が悪化した企業が人件費の削減を目的に従業員を一時的に解雇することを指します。従業員を完全に解雇するリストラとは異なり、レイオフはあくまでも一時的な措置(雇用調整)で、業績が回復した際には再雇用することが前提となっています。企業側にとっては、人件費を削減しながらも優秀な人材やスキルの流出を防ぐことができるというメリットがあります。一方、労働者側は、一時金や退職金が割増しで支給されるケースもあります。また、レイオフ期間中は会社との雇用関係は解消されていますので、転職活動...
Reg Techとは、「規制(Regulation)」と「テクノロジー(Technology)」を組み合わせた造語で、規制に対応するための技術やその取り組みのことです。狭義では「金融規制に対応するための技術」を指します。2008年のリーマン・ショック以降、金融規制が強化、複雑化したことで、その規制に対応するためのコスト負担が増しています。Reg Techは、ITやビッグデータ分析、AI(人工知能)、生体認証など最先端の技術を活用してそのコストを抑え、効率的、効果的に規制に対応する手段として、世界...
流動性のワナ(Liquidity Trap)とは、金融緩和により金利が一定水準以下に低下した場合、投機的動機による貨幣需要が無限大となり、通常の金融政策が効力を失うことを指します。金利水準が異常に低いと、いくら金融緩和を行っても景気刺激策にならない状況に陥ります。一般に景気後退時の対策として金融緩和を行うと金利が低下することで民間投資や消費が増加すると思われますが、一定水準以下になると銀行などに資金が大量に滞留し、貸し出しとして企業や個人など民間に流れ込まず、設備投資や個人消費などが増えません。...
流動性リスクとは、売買が極端に少なくなることで取引が成立せず、売りたいときに売れない可能性があるということです。たとえば、企業の不祥事などによる上場廃止が原因で、その企業の株式の出来高が極端に減少し、値がつかず売却できないという事態が起こることがあります。上場廃止になってもその企業が倒産しないかぎり、配当を受け取る権利や株主議決権なども消滅しません。しかし上場廃止になれば市場を通じた株式の売買ができなくなるので、投資家はあわててその株を売ろうとして、売り注文が殺到するため値が付きづらくなります。...
量的緩和政策とは、中央銀行が金利引き下げではなく、当座預金残高量を拡大することで金融緩和を行う金融政策を指します。量的緩和政策の狙いとして、(1)実質ゼロ金利政策の継続、(2)金融機関が利息の付かない日銀当座預金から融資や証券投資にお金を回すこと、(3)アナウンスメント効果、(4)金融機関に大量の資金供給をして金融システム不安を解消すること、などが挙げられます。
リバースモーゲージ(Reverse Mortgage)とは、自宅を担保にして金融機関から借金をして、年金という形で受け取るローンの一種です。契約者が死亡したときに一括返済する仕組みで、現金で返済できない場合は金融機関が抵当権を行使して担保物件である家を競売にかけ、返済に充当します。通常のローンは年月とともに借入残高が減っていきますが、こちらの場合は増えていくのでリバース(逆)と呼ばれています。自宅は所有しているものの現金収入が少ないという高齢者世帯が、住居を手放すことなく、住み続けたまま収入を確...
リビジョン(Revision)とは修正を意味する言葉で、直訳すると修正指数になります。当初の業績予想(アナリスト予想)をもとに上方修正された銘柄数の比率から下方修正された銘柄数の比率を差し引いて算出される指数(インデックス)です。業績の変化の方向性を捉えることで景況感の判断などに用いられます。たとえば、リビジョンインデックスの数値のプラスが大きい場合は、業績上方修正の勢いが高まっている、つまり、当初考えられていた以上に景況が良いことを示し、逆にマイナスが大きい場合は、業績下方修正の勢いが高まって...
リスクプレミアムとは、リスクのある資産の期待収益率から無リスク資産の収益率を引いた差のことです。株式に投資するということはつまり、大きな値上がりを期待できる反面、値下がりする可能性も高く、そのブレの大きさを受け入れたということになります。リスクの大きな株式と無リスク金利(リスクフリーレート)商品が同じリターン(収益)であれば、みんなリスクのない無リスク金利商品に投資するでしょう。投資家は無リスク金利にいくらの利回りを上乗せすれば、リスクのある株式を買う気になるのかという、その上乗せ部分がリスクプ...
リスクヘッジとは、起こりうるリスクの程度を予測して、リスクに対応できる体制を取って備えることです。単にヘッジと呼ぶこともあります。たとえば、資産運用において、資産価値が一方的に下落することを最小限に食い止めるために、先物取引を使ってリスクを回避する方法があります。現物(株式など)を買い付けると同時に、先物市場で同量の売り注文を出して、現物の値下がりが続きそうなときに、先物市場で先に売ったものを安く買い戻せば、現物取引で生じた損失をカバーできます。利益追求より価格変動リスクを抑え安定した運用をする...
リセッション(Recession)とは、「景気後退」を表します。景気は拡張期と後退期が数年周期で繰り返されますが、ピークである「山」から最悪期の「谷」に向かう過程で、景気が低迷して不況に至る間を「景気後退」局面といいます。反対に、景気が改善して好況に至る間を「景気拡張」局面といいます。欧米ではGDP(国内総生産)が前期比のマイナスが2四半期以上連続すると、一般的にはリセッションとみなされます。米国では、NBER(全米経済研究所)が経済活動低下の深さや広がり、期間をもとにリセッションを認定します。...
投資家がリスクを回避するようになり、より安全な資産に資金が向かいやすい相場状況を表した金融用語です。たとえば、中国の景気減速や米中貿易摩擦の懸念が高まるとリスクオフ(リスク回避)となり、株式から比較的安全とされる米ドル(米国債)や日本円(日本国債)などに投資家の資金が向かいます。つまり、万が一に備えて、リターンは低くても安全な金融商品が選ばれる状況がリスクオフです。対義語はリスクオンです。
投資家がリスクを取って、リターン(収益)を追求しやすい相場状況を表した金融用語です。2008年のリーマン・ショック以降、金融用語として浸透してきました。たとえば、欧米などの主要先進国の景気が良好で、かつ金融緩和環境の場合には、株式などに投資家の資金が向かいやすくなります。また、比較的リスクが高い新興国の株式や高金利通貨にも、ハイリターンを狙った資金が向かいます。対義語はリスクオフです。
リスクパリティ(Risk Parity)とは、ポートフォリオに占める各資産のリスクの割合が均等になるように分散して保有することで、リスクを低減させる運用手法を指します。欧米の年金マネーなど海外機関投資家の間では幅広く活用されている方法で、株式や債券、コモディティなど異なる資産の保有リスクを揃えるため、各市場のボラティリティ(かい離率)の動きに合わせて、それぞれの組み入れ比率をその都度変更、調整します。現在、世界でこうしたリスクパリティ戦略を採用する資金は巨額に上り、過去の世界同時株安の呼び水にな...
LIBORとは「London Interbank Offered Rate」の略で、インターコンチネンタル取引所(ICE)が計算して公表するロンドン市場での銀行間取引金利のことです。対象通貨は米ドル、ユーロ、日本円、英ポンド、スイスフランの5種類で、翌日物から12ヵ月物など様々な期間の、対銀行貸出金利(平均値)が公表され、短期金利の指標として注目度の高いものでした。しかし、2012年の不正操作問題を機に信頼性が揺らぎ、2021年末で算出・公表が停止されました(米ドルの一部は2023年6月末で公表...
リーマン・ショックとは、2008年9月15日に米国の投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻したことをきっかけに、世界的に起こった金融危機を指します。サブプライム・ローン(低所得者向け住宅ローン)問題に端を発し、その影響は瞬く間に世界中に広がりました。破綻前に1万2,000円台だった日経平均株価も、1ヵ月後には6,000円台にまで下落し、その後4年ほど低迷を続けました。