取引所は、投機的取引に活用されやすい、信用取引の過度な利用の未然防止のため、一定のガイドラインを設けています。大幅な上昇や下落を繰り返すような投機的な値動きをしている銘柄など、ガイドライン基準に該当した銘柄については、投資家に注意を喚起する目的で、毎日、信用取引の残高(信用残)を公表しています。このような銘柄を「日々公表銘柄」、あるいは「注意銘柄」といいます。日々公表銘柄以外の通常銘柄の信用残(買い残、売り残)は週1回公表されています。
人気化し、加熱した相場を冷ますために意図的に出す、まとまった売り注文のことです。たとえば、新規上場銘柄が上場初日に人気化し、初値の気配を切り上げていくような場合には、主幹事証券が大株主から株券を借りてきて売り注文を出すことがあります。また、投機筋などが冷やし玉を入れ、あえて株価の急騰を抑えることもあります。
比例配分はもともと「ある量を定められた比で分ける(按分する)」という意味で、株式取引において板寄せやザラ場では売買が成立せず、値幅制限の上限(ストップ高、ストップ安)で取引が終わって売買注文数が極端に合わないときに、取引所が取る措置を指します。通常は売りと買いの株数が同じになったところで株価が決まりますが、売買のバランスが極端に偏って値幅制限水準まで達した場合、その株価での売り株数と買い株数の比率に応じて株価を決める方法です。たとえば、買い注文が極端に多く、売り注文が少ないとき、売り注文数の分だ...
VIX指数とは「Volatility Index」の略で、シカゴオプション取引所がS&P500種指数のオプション取引の値動きをもとに算出・公表している指数です。一般的に、数値が高いほど、投資家が先行きに対して不安を感じているとされます。VIX指数は、別名「恐怖指数」とも呼ばれています。ちなみに東京証券取引所には、このVIX指数の先物を取引するETFが上場しています。
日計り、日計り商いとは、その日買った銘柄をその日のうちに売る、または信用取引などで売った銘柄をその日のうちに買い戻すような取引を行うことをいいます。デイ・トレーダーは、この日計りによって収益を獲得することを目指しています。また、証券会社などの自己売買部門の担当者であるディーラーなども日計りで、利ざや稼ぎを狙うことが多くあります。1999年10月に売買委託手数料が自由化されて手数料が大幅に下がったことや、インターネットによるリアルタイムでの売買が容易になったことによって、個人投資家も日計り取引がし...
引受業務(アンダーライティング)は、企業が新たに株式や債券を発行する場合に証券会社がそれら有価証券を買い取る業務のことであり、証券会社の4大業務のひとつです。ただし、募集・売出し業務(セリング)とは異なり、売れ残った有価証券は証券会社が買い取ることになります。証券会社の4大業務は、①委託売買業務(ブローキング)、②自己売買業務(ディーリング)、③引受業務(アンダーライティング)、④募集・売出し業務(セリング)を指します。
引けとは、前場、後場の最後の売買をいいます。特に後場の最終売買は「大引け」といいます。また、単に取引時間の終了を指すこともあります。引けでついた値段を引け値といいます。株式取引の注文方法として、引けでのみ取引を行うように指定することもできます。引けに対し、場の始めの売買のことを「寄付(よりつき)」といいます。
株式市場においての「日柄」は、時間をかけて適正水準に落ち着くまでの日数を指します。一般的に株式市場は売りと買いの需給によって株価が形成されますが、時折、銘柄に関するポジティブなニュースなどが出ると、極端に買われたりして株価が急騰することがあります。しかし、その上昇がいつまでも続くわけではありません。そこからもみ合い状態となり、時間をかけて適正な株価水準に落ち着くまでの時間が日柄です。なにかのきっかけで急騰した銘柄が、もみ合いから時間をかけて適正な株価水準に戻ることを「日柄調整」と呼びます。
引当金とは、企業会計において将来発生する特定の費用や損失に備えるため、あらかじめ当期の費用として繰り入れて準備しておく見積もり金額のことです。具体的には、将来の退職者への退職給付引当金や、取り立て不能な売掛金などの貸倒引当金が該当します。
株式等の募集や売出しにおいて、引受証券会社が発行者または売出人から株式等を買い取る1株当たりの金額のことをいいます。一般に、引受証券会社は引受価額で株式等を買い取り、引受価額とは異なる価額(発行価格・売出価格)で募集や売出しを行います。このとき、発行価格・売出価格と引受価額との差額は引受人の手取金となります。なお、引受価額は発行価額と同額になることもあります。
PTSは「Proprietary Trading System」の略で、投資家が証券取引所を介さずに有価証券を売買することができる電子取引システムのことです。1998年12月の証券取引法改正により、取引所の集中義務が撤廃されたことで上場銘柄の取引所外取引が可能となりました。PTSは証券取引所がクローズした後の夜間でも売買が可能です。なお、PTSでの取引を取り扱っている証券会社はごく一部(2023年1月現在)で、売買高も限られています。
BPSとは「Book-value Per Share」の略で、1株当たりの純資産です。純資産を発行済株式数で割って算出しており、大きいほど会社の安定性が高いと評価されます。
PSRとは「Price Sales Ratio」の略で、株価売上倍率と訳されます。時価総額を年間売上で割って、算出します。新興企業同士の株価水準を判断する場合に使用することなどがあり、PSRが低いほど、株価が割安と判断することができます。
POは、「Public Offering」の略で、一般に株式等の公募や売出しを指します。「公募」とは、主に株式などを公開する企業が資金調達を目的として、多数の投資家に対し、新たに発行する株式などの取得を募ることをいいます。「売出し」とは、多数の投資家に対し、主に株式などを公開する企業の大株主などが保有する既に発行された株式などを放出することをいいます。IPOは、「Initial Public Offering」の略で、一般的に株式などを新規公開することを指します。「新規公開」とは、非上場・未公開...
PCFRとは「Price Cash Flow Ratio」の略で、株価キャッシュフロー倍率と訳されます。株価を1株当たりのキャッシュフローで割って算出します。なお、ここでのキャッシュフローとは、当期純利益に減価償却費を加えたものです。PCFRが低いほど株価が割安といえますが、業種によって設備投資額などが異なるため、同業他社と比較して判断することが重要です。
投資信託などの運用手法のひとつで、現在の株価がその企業の利益水準や資産価値などから判断して割安にあると考えられる銘柄を買い付ける手法です。多くの場合、株式の個別銘柄の代表的な投資尺度であるPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などを用いて判断し、これらの数値の低い銘柄を買い付けます。なお、投資信託の中でこのような手法で銘柄選定しているタイプをバリューファンドといいます。割安さに着目して銘柄を選択するバリュー投資に対し、成長性に着目して銘柄を選択するスタンスをグロース投資といいます。
ハンセン指数とは、香港市場全体の動きを表す代表的な株価指数のことです。香港証券取引所の主要な33銘柄を対象に、1964年7月31日を100として時価総額の加重平均で算出しています。ハンセン指数以外に中国の代表的な指数として、上海総合株価指数、中国企業指数、レッドチップ指数などがあります。多くの証券会社などで売買が可能になった中国株ですが、国内の株と比べると情報を得る方法が少ないので、市場の動向のチェックはとても重要です。指数は市場全体の動向をチェックするツールのひとつなので、ハンセン指数に限らず...