シェールガス革命とは
シェールガス(Shale Gas)とは地下約2,000メートルのシェール層に閉じ込められた天然ガスのことです。2000年代後半に米国でこれを掘削する技術革新が起こったことで増産が可能となり、世界のエネルギー情勢が一変するほどの影響が出ており、このことをシェールガス革命といいます。シェールガスは約4割が米国の国土に眠っていて、掘削が本格化すれば可採年数(採れる年数)が石油や従来型の天然ガスの50~60年を抜き、100年以上になるともいわれています。そこで、米国はこれまで中東の石油に頼っていたエネルギー政策を転換し、自前のシェールガスを輸出産業に育てようと力を入れてきました。また、シェールガスの増産により、天然ガスの価格が下落し、衰退していた化学産業が息を吹き返したほか、掘削のための機械製造、世界中に運ぶためのパイプライン敷設、貯蔵プラント建設、運搬船建造など、幅広い分野で需要拡大が見込まれています。日本でも有望エネルギーとして注目され、商社が中心となって北米のガス権益を獲得したり、カナダや米国から輸出承認を受けるなど、輸入に向けての動きが加速。2017年1月、中部電力上越火力発電所向けの約7万トンが到着し、日本初上陸を果たしました。しかし、2021年に発足したバイデン政権は「脱炭素エネルギー」を掲げており、シェール企業に対する風向きは変化しつつあります。今後の環境政策などを注視する必要があるでしょう。