個人向け国債とは、その名の通り個人投資家を対象とした国債のことで、額面金額1万円から購入できることが特徴です。現在、個人向け国債は変動金利の10年債と固定金利の5年債および3年債の3種類が毎月発行されています。いずれも金利は0.05%が最低保証されており、利息は半年ごとに受け取ることができます。償還日前でも、1年経過後であれば中途換金が可能で中途換金される際には、原則として中途換金調整額(直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685)が、売却される額面金額に経過利子を加えた金額より差し引か...
クーポンとは、利付債に付いている利息のことです。利息は額面金額に対する利率によって決められ、利率は表面利率またはクーポンレートとも呼ばれます。利率は購入金額ではなく、額面金額に対する利息の割合である点に注意が必要です。最近では債券のペーパーレス化が進んだため、債券の券面自体を目にする機会はほとんどありませんが、券面が発行されていた頃は、債券の券面に付いている利札を切り離して金融機関に持参し、その引き換えとして利息を受け取っていました。債券には利息の付かないゼロクーポン債というものもあります。
グリーンボンド(Green Bond)とは、地球温暖化対策や再生可能エネルギーなど、環境分野への取り組みに特化した資金を調達するために発行される債券のことです。発行体はグリーンボンドの発行により、自らの環境分野への取り組みや貢献をアピールすることができます。2008年に世界銀行グループの国際復興開発銀行(IBRD)が初めて「グリーンボンド」という名称で発行。その後、環境への関心の高まりとともに次々と発行され、その市場規模は拡大しています。
クレジットリンク債とは、クレジット・デリバティブ(CDS)が内包された仕組債で、投資家は当該仕組債の発行体及びCDSの参照企業双方の信用リスクを負担するために、通常の社債よりも高い利回りが期待されます。
逆イールドとは、短期金利が長期金利の水準を上回る状態(長短金利の逆転現象)を指します。一般的に、過度な金融不安や過激な政策変動により短期金利が急騰したことで生じるために、その発生後は景気後退が訪れるケースや株価が調整に転じるシグナルとされています。米国の国債市場で3ヵ月物米財務省短期証券の利回りが、10年物国債の利回りを上回る長短金利の逆転が起こることが代表的な事例となっています。
金利平価説とは、外国相場決定理論のひとつで、「為替レートは自国通貨と外国通貨の名目金利の差によって決定される」という説です。たとえ世界中の投資家がより高い利回りを求めて世界中の通貨で資産運用をしても、為替レートの変動により運用益がならされるため、どこでも収益率は同じに収束してしまうという考えです。
株価指数連動債とは、日経平均株価やS&P500種指数等の参照する指数の変動によって、償還額や利率が変動したり、早期償還条項が付いている場合には満期前に償還したりする可能性のある仕組債のことです。1つの指数を参照するものだけでなく、日経平均株価とS&P500種指数のように2つの指数を参照するタイプもあります。投資した資金が償還時に発行体以外の株式(他社株)へ転換されて償還される可能性のある条件が付いた仕組債を、他社株転換可能債(EB債、Exchangeable Bond)といいます。
既発債とは、既に発行され、債券市場で売買されている債券のことです。既発債は流通市場(セカンダリーマーケット)で取引されているため、その価格は日々変動しています。既発債に対して、新規に発行する債券は新発債と呼ばれます。
格付会社とは、債券などの金融商品やその発行体の債務支払能力などを総合的に評価する会社のことです。信用度の高いものから順に記号や数字を用いて表示した等級(信用格付け)を付与し、債券やその発行体の信用力を示しています。S&P、Moody's、Fitchの日本法人のほか、JCR、R&Iなどの格付会社が金融庁の登録を受けています。
額面金額とは、一般的には債券の最低申込単位のことで、債券によって異なります。ただし、債券は必ずしも額面金額で発行されるわけではなく、新規に発行する際の価格は発行価格といいます。発行価格は額面金額100円当たりで表示されます。たとえば、「額面金額10万円」で「額面金額100円当たり発行価格が100.25円」の債券を購入するときに必要なお金は、100,000円÷100円×100.25円=100,250円です。償還を迎えると額面金額で戻ってきます。債券の発行価格は、その都度、変わります。たとえば、利付...
カバード債券とは、カバードボンド(債権担保付き社債)とも称され、住宅ローン債権など資産の裏づけのある、資産担保証券のひとつです。無担保社債と比べて資産の裏付けがあることから、比較的高い格付けが得られることが特徴です。
応札倍率とは、競争入札の実施による国債入札などで「応札額」(分子)を「落札額」(分母)で割った値(倍率)です。落札額に対してどの程度の規模の応札額があるかを示し、ここから算出される応札倍率で需要の強弱が判断できます。応札倍率が高いと需要が強く(人気が高く)、低いと需要が弱い(人気が低い)と判断できることになります。
外国証券売出しで対象商品(外国債券や外国株式等)を勧誘する際に、内閣府令で定めた「発行者情報」、「証券情報」を記載した書面を作成の上、必要に応じて対象顧客に交付することとされています。この書面を外国証券情報といいます。
一般に、発行体、発行市場、通貨のいずれかが海外である債券を外債といいます。外債のうち、払い込み、利払い、償還金の支払いを外貨建てで行うものを「外貨建て債券」といいます。また外債のうち、海外の発行体により日本国内市場で円建てで発行される債券を「サムライ債」、国内・海外の発行体により日本国外で円建てで発行される債券を「ユーロ円債」といいます。
縦軸に最終利回り、横軸に債券の残存期間を取ったグラフ上に、(同一発行体の)債券の最終利回りと残存期間に対応する点をつないだ線をイールドカーブ(利回り曲線)といい、代表的なものが「国債イールドカーブ」です。残存期間の長短による利回りの関係を分析する際に利用します。通常、長期金利は短期金利を上回っており、イールド・カーブが右上がりの曲線となっている状態を順イールドといいます。逆に短期金利が長期金利を上回り、イールドカーブが右下がりの曲線となっている状態を逆イールドといいます。イールドカーブはマーケッ...
一般担保付社債とは、発行体の全財産について、他の債権よりも優先的に弁済される権利が付けられている社債のことです。担保付社債の一種で、特別法に基づいて発行され、電力債やNTT債などが該当します。
債券の分類方法のひとつで、発行体と縁故関係のある特定の者などを対象として発行される債券のことを指します。縁故債は「私募」「非公募」と同義で、広く購入者を募る公募債とは異なり、特定の投資家を対象とすることから、機動的な発行が可能で、規制も公募債と比較して緩やかなものになっています。地方公共団体が金融機関を対象に発行する「銀行等引受地方債」が縁故債の代表です。募集相手を決めて発行する形式であるため、市や区のような小規模な発行体でも縁故債を発行することがあります。
IMM通貨先物は、米国のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)に上場する商品で、国際通貨の先物市場のことです。各通貨先物の出来高や売り買いの建て玉の内訳は、火曜日に集計され、その週の金曜日に公表されます。公表されるデータの中には、「Non-Commercial 」、いわゆるヘッジファンドなど「投機筋」のポジション動向も開示されます。これを「IMM通貨先物ポジション」と呼び、相場の先行きを予測する指標として、世界中の投資家が注目しています。「IMM通貨先物ポジション」は、ヘッジファンドなど短期筋の...
赤字国債とは、国の財政の赤字を補填するために発行される特例国債のことで、その性質上赤字国債とも呼ばれます。財政法上、赤字国債の発行は認められていないため、特例法を制定して発行されます。既に赤字国債を含めた普通国債残高は2022年度末で1029兆円にも上ると見込まれており、赤字国債依存からの脱却が急務となっています。公共事業のための国債を建設国債といい、この発行は財政法上認められています。