ハト派とは、もともと平和主義的な手段で穏健に自分の主義主張を通す人や集団を指し、逆に強硬手段もいとわず推し進める人や集団をタカ派といいます。平和の象徴でもある温和なハトと高圧的なタカのイメージのコントラストをもとにつけられた呼称です。経済においては、各国の中央銀行の金融政策を決定する際、景気刺激に積極的で金融緩和的な政策を支持する傾向があるメンバーをハト派と呼びます。反対に、物価の安定を重視して金融引き締め的な政策を支持する傾向があるメンバーをタカ派と呼びます。
バイサイドとは、証券会社などから株式や債券などの金融商品を購入する側で、主に運用会社を指す業界用語です。バイサイドのアナリストたちは、自社で運用を行っている投資家に向けてのみ情報を発信します。セルサイド(証券会社)のアナリストが書いた調査レポートなどは一般にも目にする機会がありますが、バイサイドのレポートは一般の個人投資家が見るのは困難です。
買収合併裁定とは、企業同士の買収合併が成立することを見込んで、関連する企業の株式の裁定取引を行うことを指し、買収合併アービトラージともいいます。個別企業の重要な出来事を利用して収益を得る「イベント・ドリブン」戦略の1つです。企業の買収が見込まれる場合、買収企業の提示価格(買収価格)と市場価格のかい離に着目し、割高な方を売って割安な方を買うことで収益を狙います。ただし、買収計画自体が白紙になれば、損失につながる可能性があります。
ハードランディング(Hard Landing)とは、主に過熱した景気が為替レートや株価、金利などの急激な変化や悪化を伴いながら失速することをいいます。もともと飛行機が衝撃を伴いながら強行着陸する様子を指し、強硬な手段によって問題の解決を図ることを指す言葉として、広く使われるようになりました。反対に、穏便な手段によって問題の解決を図ることを「ソフトランディング」といいます。
灰色のサイ(Gray Rhino)とは、マーケットにおいて高い確率で大きな問題を引き起こすと考えられるにも関わらず、軽視されてしまいがちな材料を指します。草原に生息するサイは体が大きくて反応も遅く、普段はおとなしいのですが、一旦暴走し始めると誰も手を付けられなくなり、爆発的な破壊力を持つことから、比喩として用いられています。たとえば、不良債権や少子高齢化などは、直近ではそれほど問題視されていなくても、いずれ拡大して表面化すれば株価暴落を引き起こしかねない潜在的リスクです。2013年のダボス会議(...
英語でのバイオ(bio)は、生命や生物を表す接頭語ですが、日本では一般的に生物学を意味する「バイオロジー」と「テクノロジー」(技術)の合成語である「バイオテクノロジー」を指します。生物が持っている能力や性質を人々の生活に役立てる技術です。株式市場においては製薬会社や創薬ベンチャーなどを「バイオ関連」と呼んでいます。株式市場に上場している創薬ベンチャーは赤字の会社も多い一方で、投資家が新薬の開発など夢を託して投資するため株価が急騰し、株価指標などでは説明のつかない数値まで買われている銘柄も少なくあ...
ノンリコースローンとは、特定の事業や資産から生じるキャッシュフローのみを返済原資とするローンのことです。返済は担保の範囲内に限定されます。事業や資産の対象はさまざまですが、主に不動産分野で活用されています。ノンリコースローンは責任範囲を限定できる、また万一返済できない場合でも、ほかの事業や資産に影響が及ばないというメリットがある半面、融資条件が不利などのデメリットもあります。
BaaSとは「Banking as a Service」の略で、従来、金融機関が提供してきた銀行の機能やサービスをモジュール化し、さまざまな企業が自社のサービスに組み込んで利用できるようにする仕組みを指します。これまでは金融機関以外の企業が決済や送金、融資といった金融サービスを提供することは困難でしたが、API(アプリなど)を利用して銀行のシステムに接続することで、これらの金融サービスを自社サービスの一部として提供できるようになります。金融機関以外の企業の金融サービス提供を可能にするBaaSには...
暗号資産(仮想通貨)におけるハードフォークとは、仕様の変更を意味します。ハードフォークが行われると、従来のものとの互換性がなくなるため、新しい暗号資産が誕生します。たとえば、ビットコインは、これまでも幾度となくハードフォークを繰り返したことで、「ビットコインキャッシュ」「ビットコインゴールド」「ビットコインダイヤモンド」「ビットコインシルバー」などの新通貨が誕生しました。ハードフォークを控えた暗号資産は、ハードフォーク実施の前後で相場が大きく変動する傾向があります。一方、暗号資産そのものの仕様を...
日銀短観とは、日本銀行が年4回(3、6、9、12月)、景気の現状と先行きについて企業に直接アンケート調査をし、その集計結果や分析結果をもとに日本の経済を観測するもので、正式には「企業短期経済観測調査」といいます。調査では全国の大手企業と中小企業、製造業と非製造業などで分けて、約1万社以上を対象に、業績や状況、設備投資の状況、雇用などについて実績と今後の見通しを聞きます。短観は回収率が高く、調査の翌月に公表(12月調査のみ当月に公表)されることが特徴で、この結果は景気動向を占ううえで重要な経済指数...
新たな状態や常識を指す用語で、構造的な変化が避けられない状態を指します。世界経済はリーマンショックから立ち直っても、もとの姿には戻れないとの見解から生まれた言葉です。2014年、中国では、習近平国家主席が中国は「新常態」に入りつつあると述べたことから、これがニューノーマルに相当するとして話題になりました。新型コロナの感染拡大により、在宅勤務が増えたり、EC(電子商取引)サイトでの買い物が増えたりしたこともニューノーマルとされています。
カーボンニュートラル(Carbon Neutral)とは、大気中に放出される二酸化炭素などの温室効果ガス(Greenhouse gas、GHG)と同量のGHGを除去することでバランスを取り(中立になり)、実質的なGHGが全体としてゼロになる状態を指します。「脱・炭素社会」を目指すこの動きは近年、多くの国や自治体、企業などが提唱しており、日本でも2020年10月に当時の菅義偉首相が所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指す」と宣言しました。...
日本の人口の年齢別比率が劇的に変化して「超高齢化社会」となり、社会構造や体制が大きな分岐点を迎え、雇用、医療、福祉など、さまざまな分野に影響を与えることが予想されることを指します。日本の人口は2010年を境に減少を続け、2025年には約800万人いる団塊の世代が後期高齢者(75歳)となり、国民の4人に1人が後期高齢者という超高齢化社会を迎えます。逆に社会保障の担い手である労働人口は減っていくため、社会保障費の増大、不足が予想されるほか、医療、介護分野の整備や少子化対策が急務となっています。
日本銀行が金融政策の方向性や政策金利の上げ下げなどの金融政策運営を討議・決定する会合で、年8回、各会合それぞれ2日間にわたって開催します。具体的な議事内容として、金融市場調節の方針、金融政策判断の基礎資料となる経済および金融情勢に関する基本的見解、基準割引率および基準貸付利率、預金準備率、金融政策手段などです。「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」は年4回(通常、1月、4月、7月、10月)の会合で審議・決定のうえ、公表されます。参加メンバーは政策委員(総裁、2名の副総裁、6名の審議委員の計9名...
ドル・コスト平均法とは、価格が日々変わる金融商品を一度に購入するのではなく、一定額ずつ分けて購入することで、平均買付単価を抑える方法です。たとえば積立投信などで毎月一定額を積み立てると、価格が高いときには少なく、安いときには多く買い付けるため、毎月一定量(口数)を買う方法よりも、結果的に買付単価が平準化することになります。価格が変動する金融商品は、たまたま価格が高いときに一気に購入すると、高値づかみをしてしまう可能性があります。また、時間分散によるリスク軽減効果が期待できます。
仲値とは、金融機関が外国為替取引をする際の基準となるレートのことです。TTM(Telegraphic Transfer Middle Rate)ともいい、金融機関が毎朝9時55分の為替レートを参考に決定します。海外旅行に行く際、日本円を外貨に両替するときのレートと、外貨を日本円に戻すときのレートに開きがありますが、そのちょうど中間に位置するのが仲値です。仲値に手数料を足したレートがTTS(Telegraphic Transfer Selling Rate)で、金融機関が顧客に外貨を売る際のレート...
NAFTAは、「North American Free Trade Agreement」の頭文字を取ったもので、日本語では北米自由貿易協定と訳されます。この協定は米国、カナダ、メキシコの3ヵ国間で結ばれた経済協定で、1992年12月17日に署名され、1994年1月1日に発効しました。商品やサービスの貿易障壁を撤廃し、国境を越えた移動を促進することに加え、公正な競争条件を促進すること、投資の機会を拡大すること、知的財産権の保護や執行を行うことを目的とした協定です。この協定が成立して以降、メキシコの...
2016年11月に行われた米国の大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利。この勝利は、世界中のマスコミや専門家が予想をしていなかったものです。それどころか、トランプ大統領になった場合のリスクを懸念する意見が一般的でした。ところが、実際にトランプ氏が勝利すると、経済政策への期待から世界的な株高に発展し、「トランプリスク」が一転して「トランプラリー」と呼ばれるようになりました。
トリプル安とは、株式市場、外国為替市場、債券市場の3つのマーケットが、同時に値下がりすることを指します。最近では株価下落時は円高となるケースが多く、日本市場(日本株、ドル円、日本国債)でトリプル安が発生することは少なくなっています。
ドットチャート(Dot Chart)とは、FOMC(米連邦公開市場委員会)のメンバーが適切と考える米国の政策金利=FF(フェデラルファンド)レートの水準を、ドット(点)で表した散布図のことです。「金利予測分布図」とも呼ばれ、毎年3月、6月、9月、12月にFRB(米連邦準備制度理事会)から公表されます。米国の景気や株式市場に影響を及ぼす政策金利の見通しを示すものとして、各方面から注目されています。