日銀短観とは、日本銀行が年4回(3、6、9、12月)、景気の現状と先行きについて企業に直接アンケート調査をし、その集計結果や分析結果をもとに日本の経済を観測するもので、正式には「企業短期経済観測調査」といいます。調査では全国の大手企業と中小企業、製造業と非製造業などで分けて、約1万社以上を対象に、業績や状況、設備投資の状況、雇用などについて実績と今後の見通しを聞きます。短観は回収率が高く、調査の翌月に公表(12月調査のみ当月に公表)されることが特徴で、この結果は景気動向を占ううえで重要な経済指数...
日本銀行が金融政策の方向性や政策金利の上げ下げなどの金融政策運営を討議・決定する会合で、年8回、各会合それぞれ2日間にわたって開催します。具体的な議事内容として、金融市場調節の方針、金融政策判断の基礎資料となる経済および金融情勢に関する基本的見解、基準割引率および基準貸付利率、預金準備率、金融政策手段などです。「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」は年4回(通常、1月、4月、7月、10月)の会合で審議・決定のうえ、公表されます。参加メンバーは政策委員(総裁、2名の副総裁、6名の審議委員の計9名...
日本の人口の年齢別比率が劇的に変化して「超高齢化社会」となり、社会構造や体制が大きな分岐点を迎え、雇用、医療、福祉など、さまざまな分野に影響を与えることが予想されることを指します。日本の人口は2010年を境に減少を続け、2025年には約800万人いる団塊の世代が後期高齢者(75歳)となり、国民の4人に1人が後期高齢者という超高齢化社会を迎えます。逆に社会保障の担い手である労働人口は減っていくため、社会保障費の増大、不足が予想されるほか、医療、介護分野の整備や少子化対策が急務となっています。
カーボンニュートラル(Carbon Neutral)とは、大気中に放出される二酸化炭素などの温室効果ガス(Greenhouse gas、GHG)と同量のGHGを除去することでバランスを取り(中立になり)、実質的なGHGが全体としてゼロになる状態を指します。「脱・炭素社会」を目指すこの動きは近年、多くの国や自治体、企業などが提唱しており、日本でも2020年10月に当時の菅義偉首相が所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指す」と宣言しました。...
NAFTAは、「North American Free Trade Agreement」の頭文字を取ったもので、日本語では北米自由貿易協定と訳されます。この協定は米国、カナダ、メキシコの3ヵ国間で結ばれた経済協定で、1992年12月17日に署名され、1994年1月1日に発効しました。商品やサービスの貿易障壁を撤廃し、国境を越えた移動を促進することに加え、公正な競争条件を促進すること、投資の機会を拡大すること、知的財産権の保護や執行を行うことを目的とした協定です。この協定が成立して以降、メキシコの...
仲値とは、金融機関が外国為替取引をする際の基準となるレートのことです。TTM(Telegraphic Transfer Middle Rate)ともいい、金融機関が毎朝9時55分の為替レートを参考に決定します。海外旅行に行く際、日本円を外貨に両替するときのレートと、外貨を日本円に戻すときのレートに開きがありますが、そのちょうど中間に位置するのが仲値です。仲値に手数料を足したレートがTTS(Telegraphic Transfer Selling Rate)で、金融機関が顧客に外貨を売る際のレート...
ドル・コスト平均法とは、価格が日々変わる金融商品を一度に購入するのではなく、一定額ずつ分けて購入することで、平均買付単価を抑える方法です。たとえば積立投信などで毎月一定額を積み立てると、価格が高いときには少なく、安いときには多く買い付けるため、毎月一定量(口数)を買う方法よりも、結果的に買付単価が平準化することになります。価格が変動する金融商品は、たまたま価格が高いときに一気に購入すると、高値づかみをしてしまう可能性があります。また、時間分散によるリスク軽減効果が期待できます。
トリプル安とは、株式市場、外国為替市場、債券市場の3つのマーケットが、同時に値下がりすることを指します。最近では株価下落時は円高となるケースが多く、日本市場(日本株、ドル円、日本国債)でトリプル安が発生することは少なくなっています。
2016年11月に行われた米国の大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利。この勝利は、世界中のマスコミや専門家が予想をしていなかったものです。それどころか、トランプ大統領になった場合のリスクを懸念する意見が一般的でした。ところが、実際にトランプ氏が勝利すると、経済政策への期待から世界的な株高に発展し、「トランプリスク」が一転して「トランプラリー」と呼ばれるようになりました。
トマ・ピケティは米国のマサチューセッツ工科大学で教鞭をとったこともあるフランスの経済学者。彼の著書である『21世紀の資本』は2013年にフランス語で出版され、その翌年の2014年に英語訳版が発売されると、世界中で大ヒットしました。日本では2014年12月に発売。定価5,940円、728ページ、厚さ約4センチという経済学書にもかかわらず、発売1ヵ月で13万部の大ヒットとなりました。『21世紀の資本』では、資本主義の世界は格差を自然発生的に生み出す可能性があることを、世界中の約300年間の財務データ...
ドットチャート(Dot Chart)とは、FOMC(米連邦公開市場委員会)のメンバーが適切と考える米国の政策金利=FF(フェデラルファンド)レートの水準を、ドット(点)で表した散布図のことです。「金利予測分布図」とも呼ばれ、毎年3月、6月、9月、12月にFRB(米連邦準備制度理事会)から公表されます。米国の景気や株式市場に影響を及ぼす政策金利の見通しを示すものとして、各方面から注目されています。
証券会社が破綻した場合に投資家を保護するためのセーフティネット。証券会社は、証券会社自身の財産と顧客の財産を分別して管理することが法律上義務付けられています(分別管理義務)。したがって、証券会社が破綻しても顧客の財産には直接的な被害は及ばないのが原則ですが、証券会社が分別管理を怠っていた場合など、顧客の財産が被害を受ける可能性はゼロではありません。そのような事態が起きた際、投資者保護基金が顧客1人につき1,000万円まで補償するようになっています。国内で営業する証券会社には、投資者保護基金への加...
電子商取引とは、インターネットやコンピューター上での電子的な手段によって、商品の売買やサービスなどの取引を行うことです。EC(Electronic Commerce)やEコマースと呼ばれることもあります。近年、電子商取引は世界各国に急速に波及しており、株式市場でも大きなテーマのひとつとなっています。
金融商品取引業者(証券会社)が、株式・債券・投資信託等の目論見書等の記載事項、各種報告書(取引残高報告書、取引報告書、説明書等の書面)、契約締結前交付書面(金融商品取引業者が金融商品取引契約を締結する前に投資者に対して交付する書面)について、書面での交付に代えてインターネットなどを利用した電磁的方法により交付することをいいます。
デリバティブ(Derivative)とは、“派生する(Derived)”を語源とする“派生的、副次的”という意味の英語で、株式、債券、金利、通貨、金、原油などの原資産の価格を基準に価値が決まる金融商品の総称です。原資産から派生した商品として、金融派生商品とも呼ばれます。取引形態としては、先物取引、オプション取引、スワップ取引、フォワード取引などがあります。古くは米や綿花などの農作物を対象とした先物取引から発達し、1990年前後からは、株式、債券などの金融商品を対象とした先物取引、オプション取引、...
デューデリジェンス(Due Diligence)とは、投資を行うにあたって、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査することを指します。デューデリジェンスには、組織や財務活動の調査をするビジネス・デューデリジェンス、財務内容などからリスクを把握するファイナンス・デューデリジェンス、定款や登記事項などの法的なものをチェックするリーガル・デューデリジェンスなどがあります。
デフレとはデフレーション(Deflation)の略で、私たちが普段買っている日用品やサービスの値段(物価)が全体的に下がる現象です。つまり、モノに対して相対的に貨幣の価値が上がっていく状態を指します。デフレになるとモノが売れず不景気になります。企業の業績は悪化し、従業員の給与が減ったり、リストラにより失業者が増えたりします。そうなると所得が減るため、消費者は消費を控えるようになります。また、貨幣価値が上がるため、借金をしている人は負担が重くなります。そこで、さらに企業は抱えた在庫の処分売りを行う...
DXとは「Digital Transformation」の略で、高速インターネットやAI(人工知能)などのITの活用により、ビジネスや生活の質を高めていくことを指します。もともと2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授らが提唱したものですが、近年では一般的に「最新のデジタル技術を駆使した、デジタル化時代に対応するための企業の変革」という意味を持つビジネス用語としてよく使われています。日本では、2018年に経済産業省が「DX推進ガイドライン」を策定し、DXを「企業がビジネス環境の激し...
過去の株価の推移を示す株価チャートなどのテクニカルな指標を用いて、株価水準の分析や先行きの予想をすることをテクニカル分析といい、それを行う人を指します。テクニカル分析の手法にはさまざまなものがあります。株価チャートだけでも複数ありますし、過去の値動きの幅から割高・割安の水準を見るものや、過去の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の関係から割高・割安を判断するものなど、豊富に存在します。一方、企業があげている収益の状況や資産状況など(経済の基礎的条件=ファンダメンタルズ)をもとに企業分析や株価分析を行う...
マーケットには大小さまざまなリスクがありますが、発生する確率が非常に低いリスクによって暴落や暴騰が実際に発生することをテールリスクと呼びます。ちなみに、テールとは、騰落率分布の端や裾野を意味する言葉。突然の政権交代やテロなどが代表的なものです。