GNIとは「Gross National Income」の略で、国民総所得のことです。過去には、国民総所得のことを「GNP」と呼んでいましたが、近年、GNIに変更されました。GDP(国内総生産)と同様、経済成長を計る指標ですが、GDPが「国内で1年間に生産されたモノやサービスの付加価値」であるのに対し、GNIは「居住者が国内外から1年間に得た所得の合計」を表します。
サブプライムローンとは、米国の信用度の低い借り手向け住宅ローンのことです。ローン会社は住宅や車などを担保にして、当初数年間は低めの固定金利を適用したり、利息だけの支払いとするなどして借りやすくしています。しかし、その後は固定金利が変動金利に移行したり、元本の返済が始まることで月々の返済額が増えるため、所得の増加が見込めない人には不向きな高金利のローンです。米国では長い間、住宅価格が値上がりを続けたことで、購入した建物の担保価値も上がり、その建物を担保にして低金利のローンに借り換えることによって、...
サプライチェーン(Supply Chain)とは、原料調達に始まり、製造、在庫管理、物流、販売などを通じて、消費者の手元に届くまでの一連の流れを指します。供給を鎖に見立て、一続きの連続した流れとして捉える考え方です。広域にわたる地震などの災害が起こると、サプライチェーンが寸断され、消費者に商品が届きづらくなり、経済活動に大きな支障が出ます。このサプライチェーンを管理し、製品の開発や製造、販売を最適化する手法をSCM(Supply Chain Management、サプライチェーンマネジメント)と...
サブリースとは、もともと「また貸し」「転貸」を表す単語で、賃貸物件の一括借り上げによる家賃保証制度を指します。不動産会社が貸主から賃貸物件を一括で借り上げ、入居者を募集して転貸するため、貸主は入居者有無に関わらず一定の家賃が保証されるうえ、煩わしい入退去の手続きや家賃回収業務などから解放される仕組みです。専門的な知識や手腕がなくても不動産経営が始められる方法として注目され、近年は資産の有効活用や相続税対策などを目的に、このサブリースを利用したアパート建築が急増。一方で、人口減少や競争激化などによ...
サブスクリプション(Subscription)とは会費や加入、承諾などの意味を持つ英単語で、雑誌の定期購読や会員制のフィットネスクラブなどのように、一定金額を払ってサービスを利用する定額制サービスを指します。サービスへの課金方式として、1回当たりいくらという「都度課金」に対し、契約期間中は利用し放題の「定額課金」を指す場合によく使われます。サブスクリプションでは毎月、または毎年、継続的に料金が支払われるため、サービスを提供する企業にとっては安定した収益が見込めます。そのため、有効なビジネスモデル...
債券などの発行体(国や企業など)が、利払い日における利息の支払いや満期償還時の償還金の支払いをきちんとできなくなるリスクのことを「債務不履行(デフォルト)リスク」、または、「信用リスク」といいます。このリスクを測るモノサシに、「格付」があります。格付は、債券の発行体とは利害関係のない第三者機関である格付機関が、発行会社の依頼に基づいて手数料を徴収したうえで付与しています。一方、依頼に基づかないものを「勝手格付」と呼びます。もあります。格付は定期的に見直され、変更が行われます。格付は、スタンダード...
サステナビリティ(Sustainability)とは、「持続可能性」を意味する英語です。主に環境問題において用いられる言葉ですが、最近では企業の社会的責任(CSR)を論じるうえで重要なキーワードのひとつになっています。もともと1987年の環境に関する国連の委員会において、「SustainableDevelopment(持続可能な発展)」という単語が用いられましたが、ここでは「将来世代のニーズに応える能力を損ねることなく、現在世代のニーズを満たす発展」と定義されています。これが転じて、企業にも地球...
SXとは「Sustainability Transformation(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」の略で、企業が短期的ではなく長期的な「持続可能性」を重視し、ビジネスの安定だけでなくESG(環境、社会、ガバナンス)を両立する企業経営を行えるように変革していくことを指します。SXは近年、ビジネスにおける大きな課題として注目されています。2015年のパリ協定発効を機に環境負荷軽減に向けた動きが活発化し、各国の自動車メーカーが電気自動車の開発や販売に乗り出したり、主要企業がカーボンゼ...
裁定取引(アービトラージ)とは、同一の価値を持つ商品の一時的な価格差(歪み)が生じた際に、割高なほうを売り、割安なほうを買い、その後、両者の価格差が縮小した時点でそれぞれの反対売買を行うことで利益を獲得しようとする取引のこと。機関投資家などが、リスクを低くしながら利ざやを稼ぐ際に利用する手法です。株価指数などの現物価格と先物価格を利用した取引などが代表的です。理論価格よりも高くなっている割高な先物を売却するのと同時に現物を購入することを「裁定買い」といい、理論価格よりも低くなっている割安な先物を...
サイバーセキュリティ(Cyber Security)とは、サイバー攻撃に対する防御行為を指します。たとえば、コンピューターへの不正侵入、データの改ざんや破壊、情報漏洩、コンピューターウイルスの感染などがなされないよう、コンピューターやネットワークの安全を確保する必要があります。ITは今や生活のあらゆる部分に浸透し、社会基盤として必要不可欠です。ITに障害が起きた場合、国民生活や経済活動へ大きな打撃を与える可能性があるうえ、近年では官公庁や企業からの情報流出が多数発生しており、その対策が国を挙げて...
債務担保証券(CDO:Collateralized Debt Obligation)とは、資産担保証券(ABS)の一種で、発行の裏付けとされる資産が複数の社債や複数の企業向け貸付債権(ローン債権)である証券のことです。CDOのうち、発行の裏付けとされる資産が複数の社債である証券のことを社債担保証券(CBO:Collateralized Bond Obligation)、発行の裏付けとされる資産が複数の企業向け貸付債権(ローン債権)である証券のことをローン担保証券(CLO:Collateraliz...
コンプライアンス(Compliance)とは、企業に求められるコーポレートガバナンス(企業統治)の基本原理のひとつで、法令遵守と訳されます。企業が法令や内規などの基本的なルールに従って活動することを指します。近年、産地偽装や所得隠しなど、法令違反により企業の信頼が失墜したり、事業が存続できなくなる事例が多発しました。そこで、企業も社会の構成員の一員として、刑法、商法をはじめ各種法令を守って活動し、それを従業員にも徹底させることが強く求められています。特に大企業については、そのための内部統制システ...
米国では、景気低迷を打開するために2001年と2003年の2度にわたり、大型減税が行われました。これは当時のジョージ・ウォーカー・ブッシュ大統領が行った政策で、「ブッシュ減税」と呼ばれています。その後、バラク・オバマ大統領によって、ブッシュ減税の期限が2012年まで延長されました。そして、この減税の期限が切れる2013年1月からは、「強制的な歳出削減」が予定され、ブッシュ減税の終了に伴う「実質増税」と合わせて、米国経済が崖から転落するような事態が懸念されていました。これが「財政の崖」と呼ばれるも...
コーポレートガバナンス(Corporate Governance)とは、「企業統治」と訳されます。「会社は経営者のものではなく、資本を投下している株主のもの」という考え方のもと、企業経営を監視する仕組みのことです。会社側は企業価値の向上に努め、株主に対して最大限の利益の還元を目的とすべきという考え方が根本にあります。具体的な取り組みとしては、取締役と執行役の分離、社外取締役の設置、社内ルールの明確化などが挙げられます。会社側と株主との関係や、会社の経営監視がうまくいっている状態を「コーポレートガ...
金融機関同士が短期の資金を融通し合う市場で、インターバンク市場を構成する市場のひとつです。コールという呼称は「呼べば応える」という意味で、金融機関にとって短期の資金の貸し借りの場です。一般的に銀行は、預金など短期の資金を受け入れ、企業や個人に長期で貸し出しており、長期の貸し出しが多くなると、預金の払い戻しなどの短期の資金が足りなくなることがあり、資金が手元で余っている他の金融機関から借りることになります。コール市場において最も代表的な取引が「無担保コール翌日物」で、これは無担保で資金を借りて翌日...
公示地価は、国土交通省土地鑑定委員会が、適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における標準地(全国に定めた個別地点)の正常な価格を3月に公示するものです。2022年の地価公示では、2万6,000地点で実施されました。公示地価の主な役割は、一般の土地取引に対して指標を与えることや不動産鑑定の基準になること、また土地の相続評価や固定資産税評価についての規準にもなっています。
現代ポートフォリオ理論なども含む伝統的かつ標準的な経済学においては、「人はみな合理的な選択をする」というのが基本的な考え方の前提となっていますが、行動ファイナンス理論では、「人は必ずしも合理的な選択をするとは限らない」という考え方が出発点になっています。人は投資判断をする際、常に合理的な選択をしているわけではなく、そこには心理的または感情的な要素が働きます。それが市場や価格形成にどのような影響を及ぼしているかを研究する学問が「行動経済学」や「行動ファイナンス」と呼ばれる領域だといえます。たとえば...
長期にわたる為替レートの決定理論で、スウェーデンの経済学者カッセル氏によって提唱されました。購買力平価説には、絶対的購買力平価説と相対的購買力平価説があり、前者の絶対的購買力平価説は、為替レートは2国間の通貨の購買力によって決定されるという説です。具体的には、たとえば米国では1ドルで買えるハンバーガーが日本では100円で買えるとするとき、1ドルと100円では同じものが買える(つまり1ドルと100円の購買力は等しい)ので、為替レートは1ドル=100円が妥当だという考え方です。しかし、この説が成立す...