遺言書を作成した者(被相続人)が死亡した場合、遺言書を預かっていた者、あるいは発見した相続人は、遅滞なく家庭裁判所に「遺言書の検認」を申し立てる必要があります。この「検認」とは、相続人などに対し遺言の存在を通知するとともに、遺言書の形状や内容等を明確にし、後日の偽造・変造・隠匿・滅失などを防止し、遺言書を確実に保存するため(証拠保全)の手続きです。また、「検認」は証拠保全にすぎないので、遺言書の有効性を判断する手続きではありません。家庭裁判所では、「検認」が終了すると、その結果を「検認調書」に記...
相続を受けた人が、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐことです。限定承認を選択する場合は、自己のために相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に、相続人全員が共同で被相続人の住所地の家庭裁判所に申述する必要があります。
2013年4月1日~2026年3月31日までの間に、30歳未満の子や孫などに対して教育資金の目的で一括贈与をした場合、受贈者1人につき最大1,500万円が非課税となる制度です。この制度を利用するためには、信託銀行などの金融機関で専用の教育資金口座を開いて資金を管理し、金融機関を通じて教育資金非課税申告書や教育資金として支払った領収書を提出する必要があります。2019年4月1日以後、教育資金の贈与があった年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合、本制度を適用することはできません。...
主に人生の終末期に自身に生じる万が一のことを考え、事前に家族や友人へのメッセージを書いたり、医療・介護や葬儀の希望などを書き留めておくノートのことです。記載する内容は形式にとらわれることなく自由ですが、法的効力はありません。
遺留分を侵害された相続人は、侵害した受遺者や受贈者などに対して、その侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。遺留分侵害額請求権は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから1年または相続開始後10年を経過したときに時効によって消滅します。相手方にこの権利を行使する旨を意思表示する必要があり、証拠を残すという意味でも内容証明郵便などで意思表示を行います。
遺留分とは、民法によって兄弟姉妹(甥・姪)以外の法定相続人に保障された相続財産の最低限度の割合のことをいいます。本来、自己の財産は生前贈与や遺言によって、原則自由に処分することができますが、この遺留分制度によって被相続人の処分が一定限度で制限されています。ただし、遺留分を侵害する生前贈与や遺贈が無効になるというわけではなく、遺留分侵害額の請求によって初めてその効果が覆されます。ここでいう遺留分を有する者は、兄弟姉妹とその代襲者(甥・姪)以外の相続人、すなわち子とその代襲者(直系卑属)、直系尊属お...
相続人全員で遺産分割協議をした結果、その内容を書式にまとめたものを遺産分割協議書といいます。遺産分割協議書には、誰が、どの財産を相続するのかを具体的に記載し、相続財産の受取人を特定できるようにして内容を明確にしておくべきです。遺産分割協議書は必ず作成しなければならないものではありませんが、後日の紛争を防止するためや相続手続き上、必要になる場合もあるので、作成しておくことが望ましいです。また、遺産分割協議書は相続人の人数分を作成し、各自1通保管します。なお、遺産分割協議書は、不動産の相続登記、金融...
ワンストップ特例とは、ふるさと納税について利用者の手続きを簡素化するために、2015年に導入された制度です。ふるさと納税では通常、翌年に確定申告をする必要がありますが、元々確定申告が不要な給与所得者が、5団体以内の自治体に寄附し、その全自治体に翌年1月10日までにワンストップ特例申請書を提出すれば、申告なしに寄附金控除が受けられます。その際、2016年からマイナンバー確認書類と本人確認書類を併せて送付しなければならなくなりました。※当ページは、2023年2月現在における制度・情報をもとに、個人(...
レギュラトリーサンドボックスとは、規制やルールの枠にとらわれず、新技術などの実証実験を行える制度のことで、試行錯誤を許容する規制緩和の仕組みを指します。日本語では「規制の砂場」という意味です。2015年11月にイギリスが金融分野でのサンドボックス制度を公表し、その後、香港やタイ、マレーシア、シンガポールといった国々がこの制度を採用しました。最近では、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、ブロックチェーンなど革新的な技術が世界中で生み出されています。我が国でも、国際的な優...
民事再生法と会社更生法は、どちらも経営破綻した企業の事業を再建するための「法的整理」の手続きの方法を定めた法律で、民事再生法は主に中小企業、会社更生法は大企業向けに使われます。民事再生法は倒産の恐れがある段階で手続きの申し立てができ、原則として債務者は経営権、財産管理・処分権を保持でき、資産の分散化も阻止できます。裁判所の監督のもと、強制力を持つ形で債権者の利害を調整し、破綻企業が負う債務の削減を進めます。一方、会社更生法は再建の見込みのある株式会社について、債権者、株主その他の利害関係人の利害...