残存期間とは、債券が償還されるまでの期間のことです。年単位で表示されるため、残存年数や残存年限などとも呼ばれます。既に発行された債券を購入し、満期償還日まで保有した場合の利回りを「最終利回り」といいます。
財投機関債とは、財投機関(財政投融資を活用している機関)が発行する債券のうち、政府が元金および利息の支払いを保証していない公募債券のことです。2001年度の財政投融資改革において導入され、現在、財投機関の資金調達手段のひとつとして機能しています。財投機関債の発行に際しては、発行体自らの信用力に依拠した普通社債(Straight Bond)と、担保となる資産の信用力に依存した資産担保証券(Asset Backed Securities)に大別できます。後者は、貸付債権担保住宅金融支援機構債が有名で...
既に発行された債券を購入し満期償還まで保有したときの、投資元本に対する収益の割合(利回り)です。利付債券の最終利回り(単利ベース)は次の計算式で求められます。利付債券の最終利回り(%)=[年利率+(償還価格-買付価格)÷残存年数]÷買付価格×100
債券先物取引とは、債券を対象とした先物取引で、将来の特定の期日に、特定の債券をあらかじめ決めた価格で取引することを約束する契約です。日本では現在、大阪取引所に上場されている長期国債先物、中期国債先物、超長期国債先物、ミニ長期国債先物が取引されています。実際に発行されている日本国債ではなく、「標準物」と呼ばれる取引円滑化のために証券取引所が利率や償還期限等を標準化し、設定した架空の債券を取引対象としています。株式の先物取引同様、売買単位や受渡期日(限月)などの取引条件が決まっており、一定の証拠金を...
債券とは、国や地方公共団体、企業などが資金調達のために発行するものです。一般的に債券を購入すると、利払日に利息が支払われ、償還日に額面金額が払い戻されます。一方、債券はいつでも売買できますが、時価は変動するため、額面金額よりも高くなることもあれば、低くなることもあります。つまり、償還日まで保有していれば安全性が高い一方、償還日前に売却すると元本割れのリスクがあります。また、発行体の経営悪化や破綻によって、利息の支払いが滞ったり、投資元本を割り込むこともあるため、発行体の安全性を格付などで確認する...
コマーシャルペーパーとは、企業が短期資金の調達を目的とし、割引形式で発行する無担保の約束手形のことです。引受先は一般的に機関投資家や金融機関などになります。英語表記は、「Commercial Paper」で日本では「CP」と呼ばれています。コマーシャルペーパーは無担保であるため、発行できるのは優良な企業に限られています。なお、社債の償還期間は通常1年以上ですが、コマーシャルペーパーは1年未満です。発行企業にとってコマーシャルペーパーは、低い金利で資金調達できるといったメリットがあります。
債券格付とは、債券自体の信用リスクの度合いを示した格付のことです。格付は、一般的に債務履行の確実性が高いものからAAA(トリプル・エー)、AA(ダブル・エー)、A(シングル・エー)、BBB(トリプル・ビー)・・・と続きます。一般に格付がBB(ダブル・ビー)以下の債券はジャンク債、ハイイールド債などと呼ばれ、相対的にリスクの高い債券と位置付けられています。発行体の信用力が基本となるため、通常、同一発行体の同年限の債券格付は同じになります。ただし、同一発行体の債券であっても、元本・利息の支払い順位な...
個人向け国債とは、その名の通り個人投資家を対象とした国債のことで、額面金額1万円から購入できることが特徴です。現在、個人向け国債は変動金利の10年債と固定金利の5年債および3年債の3種類が毎月発行されています。いずれも金利は0.05%が最低保証されており、利息は半年ごとに受け取ることができます。償還日前でも、1年経過後であれば中途換金が可能で中途換金される際には、原則として中途換金調整額(直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685)が、売却される額面金額に経過利子を加えた金額より差し引か...
国債とは、国(政府)が発行する債券のことです。日本の国債は、政府の歳出の財源を確保するため、法律で定められた発行根拠に基づいて発行されています。発行体が国なので信用力が高く、取引も活発なため流動性の高い債券といえます。固定利付国債や変動利付国債、物価連動国債など様々な種類が発行されています。また、個人投資家のみが購入できる個人向け国債も発行されています。
公社債とは、公共債と民間債を総称した呼び名です。債券全般のことを公社債と呼ぶこともあります。国や地方公共団体が発行する債券が公共債、民間の企業や特定の金融機関が発行する債券が民間債です。債券を保有している間は利息が支払われ、償還日には額面金額が払い戻されることから、株式に比べリスクが低いとされています。また、投資信託の運用商品としても組み込まれています。株式を一切組み入れず、公社債だけで運用する投資信託のことを、公社債投資信託といいます。
利付債を売買する際に、受渡日がその債券の利払日と異なる場合には、買い手は前回利払日の翌日から受渡日までの日数(経過日数)について、日割りで計算された利息相当額分を売り手に支払います。この時の利息相当分を経過利息といいます。利息は、その債券の利払日に支払われます。そのため、経過利息の調整をしない場合、債券を途中で買った人は保有していなかった期間分の利息を受け取れてしまう一方、途中で売った人は保有していた期間分の利息を受け取れず不利になってしまいます。こうした有利、不利が生じないよう調整する必要があ...
クレジットリンク債とは、クレジット・デリバティブ(CDS)が内包された仕組債で、投資家は当該仕組債の発行体及びCDSの参照企業双方の信用リスクを負担するために、通常の社債よりも高い利回りが期待されます。
グリーンボンド(Green Bond)とは、地球温暖化対策や再生可能エネルギーなど、環境分野への取り組みに特化した資金を調達するために発行される債券のことです。発行体はグリーンボンドの発行により、自らの環境分野への取り組みや貢献をアピールすることができます。2008年に世界銀行グループの国際復興開発銀行(IBRD)が初めて「グリーンボンド」という名称で発行。その後、環境への関心の高まりとともに次々と発行され、その市場規模は拡大しています。
クーポンとは、利付債に付いている利息のことです。利息は額面金額に対する利率によって決められ、利率は表面利率またはクーポンレートとも呼ばれます。利率は購入金額ではなく、額面金額に対する利息の割合である点に注意が必要です。最近では債券のペーパーレス化が進んだため、債券の券面自体を目にする機会はほとんどありませんが、券面が発行されていた頃は、債券の券面に付いている利札を切り離して金融機関に持参し、その引き換えとして利息を受け取っていました。債券には利息の付かないゼロクーポン債というものもあります。
金利平価説とは、外国相場決定理論のひとつで、「為替レートは自国通貨と外国通貨の名目金利の差によって決定される」という説です。たとえ世界中の投資家がより高い利回りを求めて世界中の通貨で資産運用をしても、為替レートの変動により運用益がならされるため、どこでも収益率は同じに収束してしまうという考えです。
逆イールドとは、短期金利が長期金利の水準を上回る状態(長短金利の逆転現象)を指します。一般的に、過度な金融不安や過激な政策変動により短期金利が急騰したことで生じるために、その発生後は景気後退が訪れるケースや株価が調整に転じるシグナルとされています。米国の国債市場で3ヵ月物米財務省短期証券の利回りが、10年物国債の利回りを上回る長短金利の逆転が起こることが代表的な事例となっています。
既発債とは、既に発行され、債券市場で売買されている債券のことです。既発債は流通市場(セカンダリーマーケット)で取引されているため、その価格は日々変動しています。既発債に対して、新規に発行する債券は新発債と呼ばれます。
株価指数連動債とは、日経平均株価やS&P500種指数等の参照する指数の変動によって、償還額や利率が変動したり、早期償還条項が付いている場合には満期前に償還したりする可能性のある仕組債のことです。1つの指数を参照するものだけでなく、日経平均株価とS&P500種指数のように2つの指数を参照するタイプもあります。投資した資金が償還時に発行体以外の株式(他社株)へ転換されて償還される可能性のある条件が付いた仕組債を、他社株転換可能債(EB債、Exchangeable Bond)といいます。
カバード債券とは、カバードボンド(債権担保付き社債)とも称され、住宅ローン債権など資産の裏づけのある、資産担保証券のひとつです。無担保社債と比べて資産の裏付けがあることから、比較的高い格付けが得られることが特徴です。