短期金融市場におけるインターバンク市場(市場参加者は金融機関のみ)のひとつであるコール市場の代表的な取引のこと。金融機関同士が「今日借りて、明日返す」、「今日貸して、明日返してもらう」といったような1日で満期を迎える超短期の資金調達や資金供給を、借り手が貸し手に対して担保を預けずに行う取引です。この金利を「無担保コール翌日物金利」といい、「無担保コールレート(オーバーナイト物)」や、「無担保コール・オーバーナイト・レート」などともいいます。金融機関は日銀に所定の額を預金することが義務付けられてい...
家計(個人)や企業を最小単位としてその行動や意思決定がどのようになされるかを扱う経済学の領域です。狭い(ミクロ的)視点で経済分析をすることから、ミクロ経済(学)と呼ばれています。経済学では国単位など広い視点で行う経済(マクロ経済)分析とともに長い間研究対象とされてきました。個々の経済主体(家計や企業など)の行動に焦点を当て、市場でどのように価格が決定されるか、資源がどのように企業や家計に配分されていくかなどの研究を行うことはミクロ経済の領域といえます。「商品の価格をどこまで下げれば売れるようにな...
マネタイゼーション(Monetization)とは、貨幣を発行すること、資源や資産を現金化することを指します。中央銀行が通貨を増発し、政府発行の国債を直接引き受けることで財政赤字を穴埋めする意味に使われ、財政ファイナンスともいいます。国の財政支出拡大とマネタイゼ―ションを組み合わせて行うことにより、景気回復とデフレ脱却の効果が得られるという見方がある一方、通貨の信頼性が低下し、極端なインフレを招くとの懸念もあります。
マネーロンダリング(Money Laundering)とは、資金洗浄のことです。麻薬取引、脱税、粉飾決算などの犯罪によって得られた資金(汚れたお金)を、資金の出所をわからなくするために、架空または他人名義の金融機関口座などを利用して、転々と送金を繰り返したり、株や債券の購入、大口寄付などを行ったりします。これは、捜査機関による差し押さえや摘発を逃れるための行為で、世界中で巨大な闇のお金として悪用されることもあります。もちろんこれらの行為は法律で禁止されています。悪質なマネーロンダリング(資金洗浄...
国や金融機関以外の民間部門が保有する通貨量(通貨保有量)のことで、市中に流通する通貨量を指します。日本銀行が公表するマネーストック指標は、対象となる金融商品の範囲や預入先となる金融機関などの違いによって、「M1」「M2」「M3」「広義流動性」の4つの指標からなります。一般的に、景気が良いときは積極的な設備投資などを行うため、銀行からお金を借り入れます。それにより銀行から世の中にお金が流れ、マネーストックは増加します。ただし、あまり増加するとインフレが進む可能性があります。一方、不況のときはその逆...
マネーサプライ(Money Supply)とは通貨供給量のことで、統計を作成している日銀は、2008年6月以降は「マネーサプライ」に代わり「マネーストック」という名称に変更しています。
マクロとは「巨大な」という意味があり、マクロ経済とは、政府、企業、家計を一括りにした、経済社会全体の動きのことです。イメージでいうと、空の上から森全体を見るといった感じでしょう。国や政府のレベルで物価や消費、金融などの動きを国全体から考えるというものです。日常では、景気が悪い、円高、失業率が上がったなどというニュースが問題になりますが、これらはマクロ経済の要素のひとつで、大きな視点で世の中の動きを見ることで日本のこれからを考えることができます。マクロ経済の反対は、ミクロ経済です。ミクロは「微小な...
ビットコインをはじめとする暗号資産には、日本円や米ドルのように通貨を管理する国や中央銀行が存在しません。そのため、第三者がコンピュータのネットワークを利用して暗号資産を管理する仕組みになっています。この第三者による取引の承認および確認作業がマイニング(採掘)です。コンピュータで取引をチェックし、ブロックチェーンと呼ばれる取引台帳に追記していくには、膨大な計算作業が必要です。一般的には、マイニングマシンと呼ばれるコンピュータを使って、マイニングを行っています。マイニングによって、暗号資産の発行量は...
マイナス金利とは、民間の金融機関が中央銀行(日本では日銀)に預けている預金金利をマイナスにすることです。金利のマイナス化により、預金者が金利を支払うことになります。日銀のマイナス金利政策は、2016年1月に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」として導入されました。日銀のマイナス金利政策でマイナス金利が適用されるのは、金融機関が持つ日銀の当座預金のごく一部です。日銀はマイナス金利政策によって、金融機関が日銀に資金を預けたままにしておくと金利を支払わなければならなくすることで、金融機関が企業への貸...
ホワイトナイト(白馬の騎士)は買収防衛策のひとつです。敵対的買収を仕掛けられた企業が、新たな友好的な買収者(ホワイトナイト)を見つけて対抗し、買収もしくは合併してもらうことを指します。当然、新たな買収者にとっては予定外のM&Aとなることから、新株を取得できる権利など、ある程度有利な条件が提示される場合がほとんどです。買収を仕掛けられた企業にとっては苦肉の策ですが、敵対的な企業に買収されるより、友好的な企業に買収されてその傘下になることを選択するというわけです。ホワイトナイトは敵対的買収を...
ボラティリティー(Volatility)とは、一般的に価格変動の度合いを示す言葉で、「ボラティリティーが大きい」という場合は、その商品の価格変動が大きいことを意味し、「ボラティリティーが小さい」という場合は、その商品の価格変動が小さいことを意味します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティーを標準偏差で数値化し、それをその商品のリスクの度合いとして捉えるのが一般的です。そのため、ボラティリティーが大きい商品はリスクが高く、ボラティリティーが小さい商品はリスクが低いと判断されるのが一般...
投資信託などで組み入れ銘柄の選択をしていく際のアプローチの仕方のひとつで、個別企業の財務状況など、1社ずつ細かく分析しながら投資対象をピックアップして、ポートフォリオを構築していくものです。選び方としては、企業の実力に比べて株価が割安な銘柄をピックアップしていくバリュー型や、成長率の高い企業をピックアップしていくグロース型など、一定の基準に基づいて個別企業を1社ずつ選んでいくのが一般的です。マクロ的な分析からポートフォリオを構築するトップダウン・アプローチとは対極にあるものといえます。ボトムアッ...
貿易収支とは、財貨(物)の輸出入の収支のことをいいます。輸出額が輸入額を上回る状況を貿易黒字、輸入額が輸出額を上回れば貿易赤字といいます。 一般的には、貿易黒字が増えると、その分相手の国から受け取る外貨が増え、それを日本円に交換するために外貨を売って円を買うことになるので、円高圧力が高まります。一方、貿易黒字が増えるとGDPが押し上げられ、貿易赤字が増えると逆に押し下げられます。貿易収支は毎月、財務省が「貿易統計」で発表しています。貿易収支は速報性が高く、実態を反映しやすいので、GDP速報値など...
ポイント投資とは、カード会社や通信会社、航空会社などのポイントやマイルを利用した少額投資を指します。たとえば、NTTドコモは2018年からdポイントで投信を購入できるようにしたほか、ANAなども次々参入しています。その背景には2兆円近い規模ともいわれるポイント市場の急拡大があります。これまで顧客の囲い込みのために機能していたポイントも、最近では利用データを活用し、新規事業や顧客開拓につなげる動きが活発化しています。ポイント利用を資産運用まで広げることにより、サービス向上や自社ポイントのさらなる利...
変動金利とは、預金や債券等について、一定期間ごとに諸条件に応じて変動する金利のことをいいます。一方で、満期・償還まで一定のものを固定金利といいます。変動金利型10年満期の個人向け国債は、実勢金利の動きに応じて半年毎に金利が変動しますが、最低利率0.05%(年率)が保証されています。
ベンチャーキャピタル(Venture Capital、VC)とは、未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資して株式を取得し、将来的にその企業が株式を公開(上場)した際に株式を売却し、大きな値上がり益の獲得を目指す投資会社や投資ファンドのことを指します。一般的なベンチャーキャピタルは、企業への出資と同時に経営コンサルティングを行い、その企業価値の向上を図ります。ベンチャーキャピタルは、未上場の段階で株式を取得し、上場時に売却することで大きな値上がり益を期待できますが、投資先企業の中には上場を果たす...
ヘルスケアとは、健康の維持や増進のための行為や健康管理のことです。昨今では医師に頼らず自分で治療を行うセルフメディケーション(自己治療)が同様の意味で使われていることもあります。これは、製薬業界などでドリンク剤や市販薬など、医師に頼らず自身で健康を管理する商品をヘルスケアと呼んでいることからきているようです。2017年から新たにスタートしたセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は、定期的に健康診断などを受けて健康を管理している人が、一部の市販薬を購入した際に受けられる所得控除の特例です。...
中央銀行が対価を取らずに大量のマネーを市中に供給する景気対策のこと。ヘリコプターからマネーをばらまくような政策という意味で「ヘリコプターマネー」といわれています。ヘリコプターマネーはミルトン・フリードマンが最初に使い、米国のバーナンキ元FRB議長も提唱しました。「禁断の政策」ともいわれるように「ヘリコプターマネー」には、副作用も存在します。財政出動の資金確保や政府が目指す「デフレ脱却」のきっかけになる一方で、大きなインフレを招いたり、貨幣の信認低下につながる可能性が指摘されています。
米国にある12の地区の連邦準備銀行が、それぞれ管轄する地区の経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」を指します。表紙の色がベージュ色であることから、こう呼ばれています。全米の経済情勢についての総合判断の他、消費支出、製造、金融サービス、不動産、雇用などの各項目の状況について説明されています。年8回開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)の2週間前の水曜日に発表され、金融政策を変更するかどうかの判断材料に用いられます。12の地区連銀とは、アトランタ、ボストン、シカゴ、ミネアポリス、ニューヨーク、フィ...
ベーシックインカム(Basic Income) とは、年齢、性別、所得水準などに関係なく、すべての国民や市民に一律の金額を恒久的に支給する基本生活保障制度のことです。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた景気の悪化や失業率の上昇をきっかけに、ベーシックインカムに関する議論が世界的に活発化しました。ベーシックインカムには、貧困対策や社会保障制度の簡素化を通じた行政コストの削減などのメリットが考えられる一方で、財源確保などの問題点も指摘されています。なお、2021年10月には、米国のシカゴ市議会がベー...