米国の雇用情勢を示す統計で、景気状況を探るうえで最も重要な経済指標のひとつです。原則、毎月第1金曜日に米国労働省から発表されます。政府から最初に発表される前月の指標で、米国の景気の実体を表す最新の数値として、外国為替、株式、金利などのマーケットにも影響を与えるため、市場関係者が注視しています。中でも最も注目される数字は、非農業部門雇用者数、失業率、時間当たり賃金などです。FRB(米連邦準備制度理事会)は金融政策の決定に際し、雇用の最大化と物価の安定を目標としています。そのため、米国雇用統計は米国...
ブロックチェーンとはコンピューターネットワーク上のデータを管理する技術のひとつで、日本語では「分散型台帳」といわれます。次々と形成される取引の履歴(ブロック)が鎖(チェーン)のように連なって行くことから「ブロックチェーン」と呼ばれています。ブロックチェーンは1つの会社や組織内で管理される「プライベート型」と、管理者がおらず、誰でも参加が可能な「パブリック型」に分かれます。パブリック型では、取引データがネットワーク上に公開されていて、ユーザー同士が分散して取引履歴の管理・監視を行っています。そのた...
ブレグジットはイギリスがEU(欧州連合)を離脱することを指す造語で、「Britain(イギリス)」と「Exit(離脱)」を組み合わせたものです。2016年6月23日に行われたイギリスのEU離脱を問う国民投票で離脱派が勝利し、3度の延期を経て、2020年1月31日に正式に離脱しました。
ブラックフライデー(Black Friday)とは、米国の感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日の金曜日を指し、この日に大規模なセール(安売り)が行われることをいいます。米国の小売業界では1年で最も売り上げが見込まれる日とされており、年末商戦の幕開けに当たる一大プロモーションイベントとして注目されています。もともとはセールに集まる人が店の外にあふれて自分の仕事が増えることから、警察官が「ブラックマンデー」になぞらえて、「真っ暗な金曜日」と呼んだことが始まりとされています。その後、「小売業者が儲かって...
ブラックスワン(Black Swan)とは、マーケットにおいて事前にほとんど予想できず、起こったときの衝撃が大きい事象のことです。元ヘッジファンド運用者でもある研究者、ナシーム・ニコラス・タレブが2006年に刊行した著書『ブラックスワン(The Black Swan)』で言及したのがきっかけで、使われるようになりました。従来、すべてのスワン(白鳥)は白色と信じられていましたが、オーストラリアで黒いスワンが発見されたことにより、鳥類学者の常識が大きく覆されました。これにちなんで、確率論や従来の知識...
ブラック・マンデー(Black Monday)とは、1987年10月19日、ニューヨーク株式市場に起こった過去最大規模の暴落を指します。508ドル、22.6%という下げ幅は世界恐慌の引き金となった日(ブラック・サーズデー)の下落率12.8%を上回るもので、直後からアジア、ヨーロッパにも広がり、世界同時株安となりました。この日が月曜だったことから、ブラック・サーズデーにならってこう名付けられ、「暗黒の月曜日」とも呼ばれます。
プライマリーバランス(Primary Balance)とは、国や地方自治体などの基礎的な財政収支のことをいいます。一般会計において、歳入総額から国債等の発行(借金)による収入を差し引いた金額と、歳出総額から国債費等を差し引いた金額のバランスを見たものです。プライマリーバランスがプラスということは、国債の発行に頼らずにその年の国民の税負担などで国民生活に必要な支出がまかなえている状態を意味します。逆に、プライマリーバランスがマイナスということは、国債等を発行しないと支出をまかなえないことを意味しま...
プライベートバンク(Private Bank)とは、経営に無限責任を負うプライベートバンカー(Private Banker)が経営する銀行を指します。スイス発祥の銀行の一形態で、顧客対象は主に世界中の王族や貴族を含む富裕層、主要業務は資産保全、資産運用です。万一の場合は無限責任のパートナーが個人資産を含めて責任を負う形態で、情報秘匿性、信頼度が高いといわれます。銀行によって基準が異なりますが、対象は富裕層が中心で、米ドルで100万ドル、日本円で1億円以上の金融資産(不動産を除く)がひとつの目安と...
フェアトレード(Fair Trade)とは、発展途上国で作られた農作物や製品を適正な価格で継続的に取引することより、生産者の生活を支えるフェア(公正、公平)な貿易方法を指します。日本では開発途上国で生産された食料品や日用品が驚くほど安い値段で販売されていることがありますが、生産国ではその安さを生み出すため、正当な対価が生産者に支払われなかったり、生産性を上げるために環境が破壊されたり、生産者の健康が損なわれたりします。生産国で生じる問題を解決するためには、生産者の労働環境や生活水準が保証され、自...
フィンテック(Fintech)とは、Finance(金融)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、IT(情報技術)を駆使して金融サービスを生み出したり、見直したりする動きを指します。2010年代以降、インターネット関連技術の進歩によって、従来の大手金融機関が独占していた業務を個人や新興金融業者が担えるようになり、金融と技術を融合した新しいビジネスやサービスが次々登場したことから、注目されるキーワードとなりました。サービスの領域は家計簿、会計ソフト、決済、貸付、資産運用など幅広く、たと...
フィデューシャリー・デューティーとは、信認を受けた者が履行すべき義務のこと。日本語では受託者責任と訳されます。これは顧客本位の業務運営を指し、金融機関は資産を預けている顧客に対し、利益を最大限にすることを目標に利益に反する行為を行なってはならないとするものです。フィデューシャリー・デューティーという言葉は、2014年に金融庁が「平成26事務年度金融モニタリング基本方針」の中で初めて扱ったことで話題となりました。なお、金融庁では、国民の安定的な資産形成の実現に向け、2017年3月30日に「顧客本位...
5Gとは5th Generationの略で、第5世代移動通信システムを指します。これまで、アナログ形式の1G、デジタル形式の2Gを経て、高速・大容量通信が可能になった3G、より高速化・大容量化が進んだ4Gとなり、現在はほぼストレスなく動画コンテンツやゲームなどを楽しめるようになりました。5Gはここに「IoT(モノのインターネット)の普及に必須となるインフラ技術」を加えるものとして位置づけられています。大きな特徴は大容量、広帯域、低遅延といった点で、これを生かして4Gでは難しかった高精細画像のスピ...
会社が事業のための資金を調達することを指し、主にエクイティファイナンスとデットファイナンスの2種類があります。前者は株式を発行するなど資金調達する方法で、自己資本の増加を伴います。具体的には、公募、 株主割当、第三者割当といった増資や、CB(転換社債型新株予約権付社債)といった、発行時は社債としての性質を持つものの、権利行使によって株式に転換(=自己資本の増加)する仕組みのものなどがあります。後者は銀行から融資を受けたり債券を発行したりすることで、資金調達する方法です。資金を借り入れる企業にとっ...
直訳すると「防火壁」ですが、金融用語では銀行業務と証券業務の間における情報の隔壁のことです。利益相反の防止、不正な取引を規制するために設けられている施策です。なお、証券会社の引受部門と営業部門との間などに設けられている情報の隔壁は、「チャイニーズウォール」と呼ばれています。
ビッド・レートとは、インターバンク市場(銀行間取引市場)において、資金の借り手または外国為替の買い手が呈示するレートのことです。インターバンク市場とは、余裕資金のある金融機関が資金の貸し手、資金不足の金融機関が資金の借り手となり、短期の資金の過不足を調整し合う機能を果たす市場のことです。銀行間取引市場とも呼ばれ、コール市場や手形市場などがあります。
ビットコイン(Bitcoin)とは、インターネット上で取引や通貨発行が行われる分散型暗号資産の一種です。発行主体が存在しない世界初の分散型通貨で、政府や中央銀行などの中央機関を介さず、P2P(ピア・トゥー・ピア)ネットワーク上で取引が行われます。そのため、仲介手数料が安く、世界中どこでも誰とでも迅速に取引や決済を行うことができるとされています。2009年から取引が行われ、通貨単位はBTCで、発行上限が2,100万BTCと決められています。ただし、電子的なコインそのものが実在しているわけではなく、...
ビッグデータ(Big Data)とは、IT技術の進歩に伴って集積されていく、膨大なデジタルデータを指します。インターネットの普及により、ツイッター、フェイスブックといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をはじめ、ウェブ検索やオンラインショッピング、金融取引などが盛んになり、これらが利用されるたびに大容量のデータが蓄積されています。また、日常生活においても、交通ICカードやコンビニのPOSシステム、街角の防犯カメラなどに、さまざまなデータが集積されています。
「半導体BBレシオ」とも呼ばれ、半導体製造装置業界などで、半導体の需給関係を表す指標として使われます。数値は半導体の出荷額(billing)に対する受注額(booking)の割合を示しています。数値が1を超えると、出荷額よりも受注額のほうが多いことを意味し、半導体業界の業績の先行きが明るいことを示唆していると考えられます。逆に、数値が1を割れると、出荷額よりも受注額が少ないことを意味し、業績の先行きの悪化が予想されます。一般的に、毎月の数値だけでなく、3ヵ月移動平均の数値でトレンドが判断されます...
PBRとは「Price Book-value Ratio」の略で、株価が1株当たり純資産(BPS:Book-value Per Share)の何倍まで買われているかを見る投資尺度です。現在の株価が企業の資産価値(解散価値)に対して割高か割安かを判断する目安として利用されます。PBRの数値は、低いほうが割安と判断されます。なお、PBR=1倍が株価の底値のひとつの目安(株価と資産価値が同じ)とされてきましたが、長い間PBRが1倍を下回ったままの銘柄もあり、必ずしも底値の判断基準とすることはできません...
PCEとはPersonal Consumption Expendituresの略で、米国の個人消費支出のことです。米国の家計が消費した財やサービスを集計した経済指標で、米商務省が毎月公表しています。個人消費がGDPの7割におよぶことから、GDPの先行指標として注目されています。実質的なインフレ指標である「PCEデフレーター」は、FRB(米連邦準備制度理事会)が政策運営にあたり重視しており、特に注目されています。