値下がりを予想して信用取引などで売り建てていた投資家が、逆に上昇したことで止むを得ず損を承知で買い戻すことはよくあります。信用取引などの買い戻しを巻き込んで相場が上昇することを「踏み上げ」といいます。特に仕手株や中小型の材料株などが「踏み上げ相場」に発展するケースは、珍しくありません。
発行されている株式の中で、安定した株主に保有されておらず、市場に流通する可能性の高い株式のことをいいます。この「市場に流通する可能性の高い株式」とは、一般の投資家などが市場で日々売買する株式のことを指します。一方で、上場されている株式でも創業者一族やその企業の役員などの大株主が常時保有していて、市場には流通しない(出回りにくい)株式(=「特定株」または「固定株」)があり、株式総数の中でもそれらと分けてカウントされます。浮動株が多い銘柄は流動性に富み、逆に少ない銘柄は流動性に乏しく、浮動株が少ない...
ブックビルディング方式とは、一般的に「需要積み上げ方式」とも呼ばれ、引受証券会社(幹事証券会社)が、新たに公開(新規公開)予定である企業の株式の公開価格(発行価格、売出価格)や、既公開銘柄の公募増資や売出し時の発行価格や売出価格、転換社債型新株予約権付社債(CB)発行時の転換価格の市場価格からのアップ率などを決定する際に使われる方式のことをいいます。新規公開における公開価格の決定は、引受証券会社がまず株価算定能力が高いと思われる機関投資家などの意見をもとに仮条件を決定します。そして、その仮条件を...
以前は配当が出ていて、その後一時的に無配状態(配当が支払われない状況)に陥っていた企業が、業績改善などを理由に配当を復活させることを復配といいます。復配を発表した企業は有望企業として注目され、その企業の株式が買われる傾向にあります。
フェアバリューとは、株式投資や不動産投資、M&A(企業の合併・買収)などにおける概念のひとつで「適正価格」を指します。ただし、フェアバリューの算出方法には、時価総額や成長性のほか、さまざまな指標が使われ、算出方法によって数値は異なります。フェアバリューよりも株価が安く放置されている銘柄を「バリュー株(割安株)」と呼びます。
フェア・ディスクロージャー・ルールは、投資家に対する公平な情報開示を確保するために2018年に導入されたルールです。過去には、証券アナリストと一般投資家の間の情報伝達のスピードが問題視されていました。このルールが導入されたことで、企業が未公表の決算情報などの重要な情報を証券アナリストなどに提供した場合、速やかにほかの投資家にも会社のホームページなどを活用して、公平に情報提供を行うことが義務付けられました。
VWAP(Volume Weighted Average Price)とは、売買高加重平均価格のことで、当日の取引所で成立した価格を価格ごとの売買高(出来高)で加重平均したものをいいます。VWAPは平均的な約定価格としてリアルタイムに表示され、主に機関投資家が株式売買時の目標値として用いています。株式注文には、売買高加重平均価格に基づくVWAP値を基準とした方法もあります。指値注文や成行注文では、売買が成立しなかったり、安く売ってしまったり、高く買ってしまったりということがありますが、VWAP値...
フィボナッチ比率は、イタリアの数学者であるレオナルド・フィボナッチ(1170年頃~1250年頃)が発見した不思議な比率のことです。これのもとになっているフィボナッチ数列では、連続した2つの数字の合計が次の数字となる配列になっており、これを比率に表すと、「0.618」「0.382」といった数字が算出されます。自然界や芸術の世界では、この比率が最も落ち着く、もしくは居心地のよい比率とされており、たとえばミロのヴィーナスもこの比率でつくられているそうです。これをテクニカル分析に当てはめ、反発や下落のタ...
ファンダメンタルズとは、国や企業などの経済状態などを表す指標のことで、「経済の基礎的条件」と訳されます。国や地域の場合、経済成長率、物価上昇率、財政収支などがこれに当たり、企業の場合は、売上高や利益といった業績や資産、負債などの財務状況が挙げられます。ファンダメンタルズをもとに株価や為替の値動きを予測することをファンダメンタルズ分析といいます。ファンダメンタルズの内容はすぐに市場価格の上下に影響しないものが多いのですが、国や企業の運営の状況を知るうえの重要な指標となっています。特に中長期の運用を...
FANGとは米国の巨大ネット銘柄群を指す言葉で、SNSのフェイスブック(Facebook=現Meta Platforms)、通販のアマゾン・ドット・コム(Amazon.com)、動画配信のネットフリックス(Netflix)、検索エンジンのグーグル(Google)の頭文字をつないだ造語です。MANT同様に情報技術やビッグデータなどを活用して、生活や産業構造を大きく変える可能性を持つ企業群で、2015年頃から米国の株式市場で用いられています。最近ではFANGの4社にアップル(Apple)を加えた5社...
比例配分はもともと「ある量を定められた比で分ける(按分する)」という意味で、株式取引において板寄せやザラ場では売買が成立せず、値幅制限の上限(ストップ高、ストップ安)で取引が終わって売買注文数が極端に合わないときに、取引所が取る措置を指します。通常は売りと買いの株数が同じになったところで株価が決まりますが、売買のバランスが極端に偏って値幅制限水準まで達した場合、その株価での売り株数と買い株数の比率に応じて株価を決める方法です。たとえば、買い注文が極端に多く、売り注文が少ないとき、売り注文数の分だ...
人気化し、加熱した相場を冷ますために意図的に出す、まとまった売り注文のことです。たとえば、新規上場銘柄が上場初日に人気化し、初値の気配を切り上げていくような場合には、主幹事証券が大株主から株券を借りてきて売り注文を出すことがあります。また、投機筋などが冷やし玉を入れ、あえて株価の急騰を抑えることもあります。
取引所は、投機的取引に活用されやすい、信用取引の過度な利用の未然防止のため、一定のガイドラインを設けています。大幅な上昇や下落を繰り返すような投機的な値動きをしている銘柄など、ガイドライン基準に該当した銘柄については、投資家に注意を喚起する目的で、毎日、信用取引の残高(信用残)を公表しています。このような銘柄を「日々公表銘柄」、あるいは「注意銘柄」といいます。日々公表銘柄以外の通常銘柄の信用残(買い残、売り残)は週1回公表されています。
日計り、日計り商いとは、その日買った銘柄をその日のうちに売る、または信用取引などで売った銘柄をその日のうちに買い戻すような取引を行うことをいいます。デイ・トレーダーは、この日計りによって収益を獲得することを目指しています。また、証券会社などの自己売買部門の担当者であるディーラーなども日計りで、利ざや稼ぎを狙うことが多くあります。1999年10月に売買委託手数料が自由化されて手数料が大幅に下がったことや、インターネットによるリアルタイムでの売買が容易になったことによって、個人投資家も日計り取引がし...
VIX指数とは「Volatility Index」の略で、シカゴオプション取引所がS&P500種指数のオプション取引の値動きをもとに算出・公表している指数です。一般的に、数値が高いほど、投資家が先行きに対して不安を感じているとされます。VIX指数は、別名「恐怖指数」とも呼ばれています。ちなみに東京証券取引所には、このVIX指数の先物を取引するETFが上場しています。
引けとは、前場、後場の最後の売買をいいます。特に後場の最終売買は「大引け」といいます。また、単に取引時間の終了を指すこともあります。引けでついた値段を引け値といいます。株式取引の注文方法として、引けでのみ取引を行うように指定することもできます。引けに対し、場の始めの売買のことを「寄付(よりつき)」といいます。
引受業務(アンダーライティング)は、企業が新たに株式や債券を発行する場合に証券会社がそれら有価証券を買い取る業務のことであり、証券会社の4大業務のひとつです。ただし、募集・売出し業務(セリング)とは異なり、売れ残った有価証券は証券会社が買い取ることになります。証券会社の4大業務は、①委託売買業務(ブローキング)、②自己売買業務(ディーリング)、③引受業務(アンダーライティング)、④募集・売出し業務(セリング)を指します。
株式等の募集や売出しにおいて、引受証券会社が発行者または売出人から株式等を買い取る1株当たりの金額のことをいいます。一般に、引受証券会社は引受価額で株式等を買い取り、引受価額とは異なる価額(発行価格・売出価格)で募集や売出しを行います。このとき、発行価格・売出価格と引受価額との差額は引受人の手取金となります。なお、引受価額は発行価額と同額になることもあります。
引当金とは、企業会計において将来発生する特定の費用や損失に備えるため、あらかじめ当期の費用として繰り入れて準備しておく見積もり金額のことです。具体的には、将来の退職者への退職給付引当金や、取り立て不能な売掛金などの貸倒引当金が該当します。